2006 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌におけるES細胞特異的Ras,ERasの機能解析および新規抗癌剤治療への応用
Project/Area Number |
17590666
|
Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
片岡 洋望 名古屋市立大学, 大学医学研究科, 助手 (40381785)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城 卓志 名古屋市立大学, 大学医学研究科, 教授 (30231369)
浅井 清文 名古屋市立大学, 大学医学研究科, 教授 (70212462)
大原 弘隆 名古屋市立大学, 大学医学研究科, 講師 (80285212)
|
Keywords | 胃癌 / ES細胞 / ERas / Ras / CPT-11 / アポトーシス / 抗癌剤感受性 / 接着因子 |
Research Abstract |
ES細胞特異的新規ras, ERasは,ES細胞のみに発現し,他のHRas,KRasと異なり変異なしで常に活性化状態にあり,ES細胞の増殖や奇形腫発生に重要であることが報告された。我々はERasの胃癌での発現を発見し,胃癌細胞におけるERasの機能につき検討した.方法:1.9種類の胃癌細胞株と外科的切除胃癌組織から蛋白を抽出し,ウエスタンでERasの発現量を検討した.2.胃癌細胞株のERas強制発現株を樹立し,細胞増殖,PI3K/Akt, MAPK等への影響を検討した.3.ERas強制発現による抗癌剤耐性能について4種類の抗癌剤を用い検討した.Akt下流のmTORの標的分子標的治療薬で抗癌剤との併用が注目されているRapamycinの効果につき検討した.4.マウスの胃粘膜から胃上皮細胞株を樹立し,さらにERas強制発現株を樹立した(MSE1-ERas).マイクロアレイ,ウエスタンによりERas標的遺伝子の検索を行った.結果:1.ほとんどの胃癌細胞株でERas蛋白の発現を認めた.胃癌組織では約75%にERas蛋白の発現を認めたが,正常胃粘膜には発現は認められなかった.2.ERasはPI3k/Akt系を活性化したがMAPK系は活性化しなかった.3.ERas強制発現によりCPT-11に対する耐性能が有意に増強し,またCPT-11とRapamycinの併用効果がみられた.4.MSE1-ERasでは細胞間の接着能が低下し,mRNA,蛋白レベルでE-cadherinの抑制が認められた.またヒト胃癌組織においても免疫染色でERasの発現が認められ,特に他臓器転移した胃癌に高発現の傾向を認めた. 上記の成果は消化器癌発生学会,第65回日本癌学会学術総会,DDW-Japan2006(日本消化器病学会総会),第3回日本消化管学会総会などの学術集会で発表し,現在英文雑誌投稿準備中である.
|