2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590669
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
小嶌 秀之 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (60326345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉治 仁志 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (40336855)
山尾 純一 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10221649)
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Keywords | 胆汁うっ滞 / radixin / リン酸化 / crosslinker / 輸送蛋白 / canalicular export pump / multidrug export pump / endocytic retrieval |
Research Abstract |
radixinは細胞骨格であるactin filamentと細胞膜蛋白のcrosslinkerであり、細胞膜蛋白の局在に必須の蛋白質である。radixin欠損マウスがmultidrug resistance protein 2(mrp2)の消失とともに黄疸をきたすことからmrp2の局在・発現にはradixinが不可欠と考えられるが、胆汁うっ滞におけるradixinの意義は明らかでない。そこで本研究ではestradiol投与(intrahepatic cholestasis)および胆管結紮(extrahepatic cholestasis)により作成した胆汁うっ滞ラット肝におけるmrp2、radixinの局在・発現の変化を検討することにより、胆汁うっ滞におけるradixinの意義を明らかにした。mrp2、radixinの発現はimmunoblot法にて、局在はtight junction蛋白であるZO-1を指標として免疫蛍光染色および共焦点レーザー顕微鏡にて検討した。さらに遺伝的mrp2欠損ラット肝においても同様の検討を加えた。肝臓におけるmrp2の発現は胆管結紮後経時的に減少したのに対し、radixinの発現は胆管結紮前後のいずれの時期においても差異を認めなかった。各種胆汁うっ滞ラット肝において、mrp2およびradixinの局在は細胆管側膜から肝細胞内へと変化した。また胆汁うっ滞ラット肝では細胆管側膜におけるmrp2とradixinの局在は解離し、mrp2はradixinの局在変化が高度であった部位で消失していた。さらに、radixinの活性型であるリン酸化radixinの発現は各種胆汁うっ滞ラット肝で低下していた。なお、遺伝的mrp2欠損ラット肝の細胆管側膜におけるradixinの染色性は正常肝と変わらず、mrp2の欠損はradixinの発現および局在に影響しないと考えられた。以上の結果より、各種胆汁うっ滞ラット肝で認められたリン酸化radixinの発現低下は、radixinのcrosslinker機能の低下に繋がり、mrp2とactin filamentのcrosslinkが絶たれることによりmrp2の局在変化ひいては発現低下に至るものと考えられた。
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