2006 Fiscal Year Annual Research Report
過敏性腸症候群における腸管神経ペプチドホルモン系の動き-大腸粘膜細菌の役割
Project/Area Number |
17590679
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Research Institution | JUNTENDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大草 敏史 順天堂大学, 医学部, 講師 (50160445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北條 麻理子 順天堂大学, 医学部, 助手 (60372934)
永原 章仁 順天堂大学, 医学部, 講師 (00266040)
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Keywords | 樹状細胞 / CRF / 粘膜細菌 / 過敏性腸症候群 / Bacteroides vulgatus / Fusobacterium varium |
Research Abstract |
以下のように,樹状細胞からのCRF分泌と腸内細菌による分泌促進作用を検討した。 【目的】腸管運動の亢進や内臓知覚過敏に影響を及ぼすCorticotropin releasing factor(CRF)は過敏性腸症候群(IBS)の発症に主要な役割をはたすことが知られている。また、樹状細胞は腸粘膜に存在し、細菌を認識して腸管免疫を発動する重要な細胞であるが、この樹状細胞からCRFが分泌されるかどうかは今までに検討されていない。我々は樹状細胞がCRFの分泌細胞であるか、また、腸内細菌の刺激によってCRFの合成分泌が促進されるかを検討した。 【方法】マウス樹状細胞株(ATCC CRL-11904)を24穴プレート各wellに1×10^5個接種し、72時間培養してコンフルエントの状態にした。その細胞に腸内細菌標準株4菌種(E.coli JCM1649,C. clostridifome JCM1291,B. vulgatus JCM5856,F. varium ATCC8501)を各1×10^8個接種し、2時間共培養した。各wellから上清を回収して、CRF EIAキット(Phenix Pharma. Inc.)を用いてCRFをELISA法で測定した。また,細胞のCRFのm-RNAもreal-time PCRで測定し,無刺激のコントロールと各菌種接種群とで比較した。 【結果】樹状細胞のみのコントロールで、平均40.4pg/mLとCRFの分泌が確認された。また、E.coli、C. clostridifome、添加では、コントロールと比べCRFの増加は軽度であったが、F. variumとB. vulgatus添加では230.7-316.9pg/mLと約6〜7倍の分泌促進が認められた。また,m-RNAの有意な増加も確認された。 【結論】樹状細胞がCRFを分泌することと、そのCRF分泌を促進する腸内細菌があることが確認され、IBSの発症に腸内細菌が樹状細胞を介して関与している可能性が示唆された。
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