2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝内胆汁うっ滞症の原因遺伝子特定と発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
17590681
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
加川 建弘 Tokai University, 医学部, 准教授 (30245469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 勲史 東海大学, 医学部, 准教授 (90167156)
猪子 英俊 東海大学, 医学部, 教授 (10101932)
田中 廣壽 東京大学, 医科学研究所・先端医療研究センター, 准教授 (00191974)
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Keywords | 胆汁酸 / 肝内胆汁うっ滞症 / 胆汁酸トランスポーター / bile salt export pump / 遺伝子異常 / 先天性胆汁うっ滞症 |
Research Abstract |
1.胆汁酸トランスポーター(BSEP)の点突然変異によって生じる2つの疾患の分子機構解析 【目的】BSEPの遺伝子異常によりPFIC2、BRIC2という2つの疾患が生じる。PFIC2は生後まもなく黄疸を発症し、肝移植を必要とするが、BRIC2は何らかのきっかけで黄疸を発症するものの自然に経過し、予後良好な疾患である。これら2つの疾患の発症機序、重篤性の違いの原因を明らかにすることを目的とする。【方法】ラットBsepにPFIC2、BRIC2変異を導入したconstructを作成し、極性を有するMDCKII細胞に遺伝子導入し、Bsepの胆汁酸輸送活性、細胞内発現量、細胞内局在を解析した。【成績】PFIC2変異のうち、D482G(482番目めアミノ酸がDからGに替わっている),E297Gは野生型Bsepのそれぞれ30%、10%の活性を有していたが、その他の変異(K461E,G982R,R1153C,R1268Q,3767-3768insC)は宗全に失活していた。BRIC2の2つの変異(A570T,R1050C)は約60%の活性を有していた。細胞内のBsep蛋自発現量は活性値と相関していた。D482Gの細胞内半減期は1.35時間と野生型の3.49時間より短縮しており、変異Bsep蛋白が不安定であることが、蛋白発現量低下の原因であることが明かとなった。また、活性が認められたD482G,E297G,A570T,R1050C変異はapical membraneに正しく局在していたが、その他の変異は細胞内にdiffuseに存在していた。proteasome inhibitor添力日により細胞内半減期が延長したことから、不安定な変異Bsep蛋白はproteasomeで分解されるごとが明らかとなった。【結論】PFIC2、BRIC2は変異Bsep蛋白が不安定でproteasomeで分解されることにより発症することが明らかとなった。胆汁酸輸送活性はA570T,R1050C>D482G>E297G>K461E,G982R,R1153C,R1268Q,3767-3768insCの順であった。PFIC2、BRIC2の重篤性の違いは変異Bsep蛋白の安定性の差に起因することが判明した。これらの結果はBsep蛋白を安定化する薬剤が本疾患の治療に有効である可能性を示唆しており、今後、そのような薬剤の開発に取り組みたいと考えている。
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