2006 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスによる慢性肝障害・肝発癌の網羅的遺伝子発現解析
Project/Area Number |
17590683
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坪田 昭人 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90322643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 博久 国立生育医療センター研究所, 免疫アレルギー研究部, 部長 (40130166)
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Keywords | 活性酸素種 / 酸化ストレス / 網羅的遺伝子発現解析 / GeneChip / 肝発癌 / 腫瘍原性 |
Research Abstract |
内因的・外因的に産生される活性酸素種・フリーラジカルは、セカンドメッセンジャーとしても遺伝子発現に影響している。その消去機構との平衡状態が持続的に崩れた状態:酸化ストレスは組織、細胞、DNAに傷害を与え、種々の疾患を惹起している。我々は、酸化ストレスが慢性肝障害から肝発癌に至る一連の病態にどう関与しているかを網羅的遺伝子発現解析(GeneChip^<【○!R】>)により検討した。病因にかかわらず、持続的な酸化ストレスは肝発癌に深く関与している。ヒト対象では病因や背景が多様であり、必ずしも酸化ストレスとの関連性を直接反映しているとは限らない。そこで多因子の関与を除く為にLECラットを用い、酸化ストレスによる連鎖的遺伝子発現を把握、腫瘍原性の機序解明に寄与できればと考えた。 LECラットは約1年令前に肝腫瘍を自然発症する。腫瘍部・非腫瘍部の網羅的遺伝子発現解析を行った。31,099遺伝子のうち、種々の解析から各々68遺伝子、32遺伝子を候補として選出した。腫瘍部に高発現した遺伝子にはcell adhesion, connective tissue growth factor, vasculogenesis, angiogenesisを含むmorphogenesis, cell cycle/cell growth, pro-oncogene,腫瘍発育に必要と考えられるmetabolism/signal transductionに関連する遺伝子が含まれていた。一方、非腫瘍部に高発現した遺伝子にはanti-angiogenesis,活性酸素種を消去・還元する酵素・代謝、肝再生等に関連する遺伝子が含まれていた[詳細は論文(投稿中)、及びweb上での公開準備中]。また、解析過程で種々の生理活性をもつ糖蛋白物質を抗酸化剤として検証した。その物質の特化した使用に対して特許を出願した。
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