2006 Fiscal Year Annual Research Report
CDX遺伝子導入による大腸上皮組織から小腸吸収上皮組織への分化転換の試み
Project/Area Number |
17590685
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松本 太郎 日本大学, 医学部, 助教授 (50366580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麦島 秀雄 日本大学, 医学部, 教授 (80183648)
福田 昇 日本大学, 大学院総合科学研究科, 助教授 (40267050)
三俣 昌子 日本大学, 医学部, 教授 (40064589)
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Keywords | 小腸再生 / 再生医療 / ES細胞 |
Research Abstract |
1.マウス胚様体のin vivoにおける小腸組織への分化誘導 マウスES細胞由来胚様体より、腎被膜下移植法を用いて小腸組織の誘導を行い、その成熟度の評価を行った。マウスES細胞より胚様体を形成させた後、無血清培地にて3週間培養し、腸管様構造を誘導後、ヌードマウス(BALB/C)の被膜下に移植した。移植4週間後に腎臓を摘出し、固定後、切片標本を作成し、移植した胚様体を顕微鏡下に観察した。その結果、移植を行った12匹のマウス中10匹において、腎被膜内に単層円柱上皮細胞からなる腸管様組織の誘導を確認した。この上皮細胞中にはPAS陽性の微絨毛を有する吸収上皮細胞と粘液顆粒を含む杯細胞が認められた。吸収上皮細胞はvillin,cytokeratin20陽性、cytokeratin7陰性といったいわゆる腸管上皮の形質を示し、電顕的にも、細胞間緻密斑の存在などが確認された。一方微絨毛は大小不規則で密生しておらず刷子縁の形成は認められなかった。また上皮細胞の約2%に腸管上皮幹細胞マーカーであるMusashi-1陽性細胞が確認された。我々は、この結果をうけより高度に分化した小腸組織の誘導を目指し、レンチウイルスシステムを用いて、テトラサイクリンによる発現制御が可能なCDX安定発現ES細胞株の樹立を行っている。 2.大腸上皮細胞株を用いた小腸上皮細胞分化転換法の検討 CDX遺伝子導入により大腸上皮細胞から小腸上皮細胞へ分化転換が可能であるか検討するために、大腸上皮細胞株(HT-29 cell)に、ネオマイシン耐性遺伝子を含むCDX-1またはCDX-2発現ベクターの遺伝子導入を行い、安定発現株の作製を行った。その結果計4株の安定発現株を獲得するに至り、これらの細胞株を用いて小腸上皮特異的タンパク分子の発現を検討した。CDX-1発現HT-29細胞とコントロールのHT-29細胞におけるvillin, MUC2,ファイブロネクチンなどのタンパク発現を比較検討した結果、両細胞間に明らかな発現変化は認められなかった。現在CDX-2発現HT-29細胞を用い同様の解析を行っている。
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Research Products
(3 results)