2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス肝炎における自然免疫と獲得免疫のクロストークの解析と治療応用
Project/Area Number |
17590688
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
石川 哲也 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (10288508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
各務 伸一 愛知医科大学, 医学部, 教授 (10115545)
奥村 明彦 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70288512)
伊藤 弘康 岐阜大学, 医学部, 講師 (80373075)
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Keywords | B型肝炎ウイルス / トランスジェニックマウス / NKT細胞 / 細胞障害性Tリンパ球 / α-galactosylceramide / IL-2 / CD40 / CD40L |
Research Abstract |
肝臓での免疫担当細胞の構成は末梢血と大きく異なっている。すなわち、NK、M(T細胞が多く認められ、それぞれ肝臓に存在する全体の単核球のうちの20-30%を占める。これからもNK、MT細胞は肝炎の病態に大きな影響を与えていると考えられる。実際、HBVの感染においても、感染の初期にはNK、NKT細胞などからのサイトカイン産生(IFN寄)によりウイルスの排除が進むことがチンパンジーの感染実験、HBVトランスジェニックマウス(田3V-tg)を用いた実験により示されている。特にNKT細胞は、IFN-γのみでなくIL-4の産生細胞でもあり、NKT細胞の活性化の程度が、肝炎の進展、細胞障害性Tリンパ球(CTL)誘導などによるウイルス排除機構に影響を与える可能性がある。当研究では、NKT細胞と炎症進展との関わり、NKT細胞がCLT誘導に与える影響を、HBV-tg、NKTノックアウトマウス(NKT^<-/->)を用いて検討している。 今年度は、主にCTL誘導においてNKT細胞の果たす役割について解析した。 正常マウス(B10D2)において、NKT細胞を活性化する作用のあるα-galactosylceramide(α-GalCer)の併用、非併用下での、HBs抗原刺激によるHBs特異的CTL(HBs-CTL)の誘導効率を比較すると、α-GalCer存在下での誘導効率が高く、NKT細胞の活性化がCTL応答の誘導に有利に働く可能性が示された。次に、通常の免疫法ではHBs-CTLの誘導が困難なHBV-tgにおいて、同様の方法でCTL誘導の可否について検討すると、α-GalCerを併用した場合のみ、HBs-CTLの誘導が確認された。さらに抗体を用いたブロッキング実験により、α-GalCer併用によるCTL誘導効率の上昇にはIL-2、CD40/CD40Lの系が関与していることが示唆された。 このように、NKT細胞は特異的免疫応答の誘導に関しても重要な働きをしていることが明らかになった。今後、それを応用した治療についても検討していく。
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Research Products
(1 results)