2006 Fiscal Year Annual Research Report
麹菌醗酵成分による炎症性腸疾患の予防および治療効果の遺伝子発現からの機序解明
Project/Area Number |
17590689
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
福田 能啓 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60148640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 和朗 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (20278823)
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Keywords | クローン病 / 炎症性腸疾患 / cDNAマイクロアレイ / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
【目的】平成17年度には、クローン病患者の末梢血白血球には健常者と比べてアップレギュレーションしている遺伝子群のあることを探索した。本年度は、麹菌発酵成分の経口投与により、これらの遺伝子群の発現を抑制できるか否かについて検討した。 【対象・方法】治療前のクローン病(n=10)の末梢血白血球を採取し、麹菌発酵成分を用いた治療後の遺伝子発現をcDNAマイクロアレイを用いて検討し、比較した。下痢や発熱、腹痛などの病勢指標としてCDAI(Crohn's Disease Activity Index)を用い、炎症指標としてCRPと赤沈等を用いた。 【結果】クローン病の治療前に健常者と比べてアップレギュレーションしていた40遺伝子のうち、麹菌発酵成分投与後およびその治療経過で変動する遺伝子発現があった。一方、ダウンレギュレーションしていたのは50遺伝子であり、麹菌発酵成分を用いた治療後にも大きな変化はみられなかった。クローン病の活動度に関連して変動すると推測される遺伝子があり、これらの遺伝子の中には、TNF-α、IL-1β、IL-4、IL-12が含まれていた。遺伝子解析の詳細は現在さらに解析中である。 【結論】クローン病患者に麹菌発酵成分を経口投与したところ、炎症に関連する遺伝子群の発現が抑制され、病態改善と関連していた。腸内細菌叢や腸管内腔相の改善効果が推測され、クローン病の治療手段となる可能性がある。炎症反応の上流である腸管内腔相の環境改善は、これらの疾患の発症や増悪の予防に有用であることが示唆された。
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