2005 Fiscal Year Annual Research Report
凍結血清、ゲノム遺伝子を用いた萎縮性胃炎および胃癌に関する症例対照研究
Project/Area Number |
17590695
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
鈴木 元 国立保健医療科学院, 生活環境部, 部長 (00179201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 佐枝子 (財)放射線影響研究所, 臨床研究部, 部長 (70359454)
HARRY M Cullings (財)放射線影響研究所, 統計学部, 研究員
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Keywords | 胃癌 / 症例対照研究 / cag A / H.pylori / 放射線 / 喫煙 / 萎縮性胃炎 |
Research Abstract |
放影研の被爆者からなる成人健康調査コホート2万人の中で、保存血清がある一次非噴門部胃癌322症例と症例毎に3倍数の性、年齢、診断年齢、血清保存時期(診断前平均2.3年)、保存方法を合致させたコホート内健常対照者を使ったネスティッド症例対照研究を実施した。平成17年度は、保存血清中のH.pylori IgG抗体価、cag A IgG抗体価、ペプシノーゲンIおよびII、ガストリン、喫煙、被ばく線量を変数とした多変量コンディショナル・ロジスティック解析を行った。H.pylori IgG抗体価の分布パターンは、陽性者のそれは単峰性であり、かつ症例と対照者で差がないが、cag A IgG抗体価は、陽性者の中で明らかな二峰性を示し、かつ対照者に比して症例は強い二峰性を示す。そこで、H.pylori IgG陽性者をcag A IgG陰性、cag A IgG低抗体価、cag A IgG高抗体価に分類し、萎縮性胃炎、喫煙、被ばく線量と共にオッズ比を求めた。今回の解析で初めてcag A IgG低抗体価、cag A IgG高抗体価、萎縮性胃炎、喫煙、被ばく線量がそれぞれ独立した有意なリスク要因であることが明らかとなった。また、H.pylori IgG陽性・cag A IgG低抗体価が最も強いリスク要因であることが判明した。被ばく線量は、非喫煙者に関してのみリスク要因であった。腸型とびまん型に組織型を分類して行った解析では、びまん型に関しては上記のリスク要因が全て有意であったが、腸型に関しては萎縮性胃炎とH.pylori IgG陽性かつcag A IgG低抗体価のみが有意なリスク要因であった。H.pylori IgG陽性、萎縮性胃炎、喫煙者でCag A IgG低抗体価のヒトは、全て陰性の対照者に比してオッズ比で21倍のリスクがある。Cag A IgG低抗体価にリスクが高いという報告は、前向き研究および後ろ向き研究それぞれ1報しか報告がない。上記の結果は、欧文誌に投稿予定である。CagA遺伝子発現は、胃酸のpHにより制御されている。 平成18年度は、胃酸分泌に関係するIL1B遺伝子多型およびIr遺伝子支配(KLAおよびクラスIII HLA領域のハプロタイプ)との関係を検討する予定である。
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Research Products
(8 results)