2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規昇圧物質CouplingFactor6の網羅的機能解析と病態生理的役割の解明
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17590698
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
長内 智宏 弘前大学, 医学部, 助教授 (00169278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 謙 弘前大学, 医学部, 教授 (20185549)
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Keywords | coupling factor 6 / microarray / binding assay / receptor / intracellular acidosis / nitric oxide / prostacyclin / mitochondria |
Research Abstract |
1.Coupling factor 6(CF6)の細胞内情報伝達機構 CF6結合部位の同定:Flow cytometry法での検討では、CF6投与により内皮細胞(HUVEC)表面に存在するATP合成酵素α-subunitは不変であったが、β-submi量は減少し、CF6は細胞表面に存在するATP合成酵素のβ-subunitと結合することが示唆された。CF6結合アッセイ:^<125>I-CF6結合はβ-subunit抗体とADPにより抑制されたが、ATPとα-subunit抗体の影響を受けず、CF6受容体のKdは7.6±0.3nMであった。ATPase活性:CF610^<-7>M投与により、ATPase活性は有意に亢進し、ATP合成酵素の阻害薬efrapeptin10^<-5>M投与により阻害された。細胞内pH:CF6投与によりHUVECの細胞内pHは低下し、efrapeptinの投与によりその低下は完全に抑制された。アラキドン酸遊離:CF6投与により、アラキドン酸遊離は抑制され、ATP合成酵素β-subunit抗体、ADP、並びにefrapeptin投与により抑制は消失した。結論:CF6は血管内皮細胞の表面に存在するATP合成酵素のβ-subunitと結合し、細胞内酸性化を介してprostacyclin産生を抑制した。 2.CF6の網羅的機能解析 HUVECにCF6 10^<-7>Mを添加、24時間後にmRNAを抽出しcDNA microarrayを施行した。CF6投与により増加した遺伝子は、うっ血心不全に関係するneuregulin-1(1.83±0.82)及びrelaxin-1(1.74±0.20)、血管の炎症と細胞浸潤に関係するC reactive protein(1.84±0.07)、urokinase type plasminogen activator receptor(1.77±0.24)並びにestrogen receptor β(1.74±0.30)、さらに一酸化窒素合成酵素の内因性の阻害物質(ADMA)合成に関係するPRMT-1(1.73±0.20)であった。減少遺伝子にはADMA分解酵素DDAH-2(0.87±0.07)が認められた。ADMAを介するNO代謝の検討では、CF6投与によりPRMT-1のmRNAは増加、DDAH-2のmRNAは減少を認めた。DDAH-2蛋白は減少し、活性も抑制された。その結果、ADMA産生は48時問で有意に増加した。結論:CF6は動脈硬化促進遺伝子の発現を亢進させた。NO代謝に関しては、PRMT-1の増加、DDAH-2の抑制を介してADMAの放出を亢進させた。従って、CF6は動脈硬化の発症・進展に重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)