2006 Fiscal Year Annual Research Report
ストア作動性Ca^<2+>チャネルによる心筋細胞肥大の制御
Project/Area Number |
17590700
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
渡邊 博之 秋田大学, 医学部, 講師 (80323145)
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Keywords | TRPチャネル / カルシウム / 心肥大 / 分子生物学 / 電気生理学 / 小胞体 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトにおいて、私達は心筋細胞肥大の形成過程におけるTRP(transient receptor potential)チャネルの役割について検討を行い、以下に示す新しい知見を得た。 1)心発達過程において、TRPC1を含む数種類のTRPチャネルが成獣期よりも胎生期に多く発現するという胎児性心筋タンパクの性質を有する。2)肥大心や不全心などの病的状態では、TRPC1の再発現がおこり、それはNRSFというrepressorによって発現が制御されている。3)そして、心筋肥大形成過程では発現の増加したTRPCチャネルがストア作動性Ca^<2+>流入の流入経路として働きcalcineurin/NFATシグナル活性化とそれに続く心肥大関連遺伝子発現に重要な役割を果たす。4)TRPC1のknockdownにより心肥大反応が抑えられ、今後TRPC1は、新しい心肥大治療のターゲットタンパクとなる可能性がある。さらに、研究の対象を動脈硬化の基礎となる血管平滑筋細胞の成長にもひろげ、5)ヒト冠動脈平滑筋細胞においては、Angiotensin IIや血管炎症により生じるNF-kBがTRPC1チャネルの発現増加をひきおこすこと。6)その結果ストア作動性Ca^<2+>流入が増加し、血管平滑筋細胞の肥大が促進されること。7)TRPC1チャネルブロッカーは平滑筋細胞の成長を抑制することを明らかとした。さらに、ストア作動性Ca^<2+>流入にはOrai1のN末端とSTIM1の結合が重要であることも報告した。
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