2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590706
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
赤澤 宏 千葉大学, 大学院・医学研究院, 寄附講座教員 (20396683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 一成 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30260483)
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Keywords | 受容体チロシンキナーゼ / ドミナントネガティブ変異体 / トランスジェニックマウス / 心不全 / シグナル伝達系 / ミトコンドリア / アポトーシス / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
心臓おけるErbB受容体シグナルの役割を生体レベルで明らかにするために、細胞内ドメインを欠失したEGFRドミナントネガティブ変異体(EGFR-DN)をα-myosin heavy chainプロモーターによって心筋特異的に発現するトランスジェニック(TG)マウスを作成した。TGマウスは症候性の心不全を呈し死亡することから、ErbBシグナルが心筋細胞の機能維持あるいは生存に必須であると考えられる。その分子機構を明らかにするために、細胞内情報伝達系の変化について検討した。TGマウスの心臓では、HB-EGFによるEGFR, ErbB2,ErbB4の自己リン酸化が抑制され、NRG1によるErbB2とErbB4の自己リン酸化が抑制されていた。また、TGマウスの心臓では、HB-EGFによるERKとJNKのリン酸化、さらにHB-EGFおよびNRG1によるAktのリン酸化が抑制されていた。電子顕微鏡による心筋細胞の形態変化を検討したところ、TGマウスの心臓では、ミトコンドリアの分布異常が見られ、個々のミトコンドリアではマトリックスの電子密度が低下し、クリスタの低形成が認められた。さらに、ミトコンドリアの酸化的リン酸化酵素の活性を測定したところ、TGマウスの心臓において一部の酵素活性の低下を認めた。また、TGマウスでは、TUNEL陽性の心筋細胞が有意に増加しており、抗アポトーシス作用を有するBcl2やBclxLの蛋白発現量、およびBadのリン酸化レベルも有意に低下していた。したがって、ErbBシグナルは心臓において、ERK, JNK, PI3K/Akt経路を活性化し、心機能維持に必須の役割を果たしており、そのメカニズムはミトコンドリアの構造と機能の維持、特にエネルギー代謝と抗アポトーシス作用を介していると考えられた。
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Research Products
(7 results)