2006 Fiscal Year Annual Research Report
心不全における心臓および腎臓交感神経終末の細胞間隙ノルエピネフリン動態の検討
Project/Area Number |
17590715
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
井上 博 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (60151619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能澤 孝 , 助教授 (00180737)
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Keywords | 心不全 / 交感神経 / 高血圧 / 心臓 / 腎臓 |
Research Abstract |
心不全において心臓のみならず腎臓の交感神経活動亢進は心不全の進展に深く関与する。そこで、交感神経賦活が高血圧性心不全の進展に深く関与するダールラットを用いて、心臓および腎臓の細胞間隙ノルエピネフリン(iNE)濃度を、マイクロダイアリシス法を用いて覚醒下で検討した。まず、覚醒下でのデータ収集のため、ダイアリシスプローブ埋め込み3日後のプローブ機能について検討した。その結果、埋め込み3日後まではチラミンのプローブ内投与によるiNEの上昇反応は維持されていることが確認された。ダール食塩感受性(DS)ラットおよび非感受性(DR)ラットの6週齢から高食塩食を投与すると、DSラットでは12週齢で代償性心肥大を、18週齢で心不全を発症した。交感神経終末のNE含量(nNE)はDSラットの12週齢で50%に、18週齢で25%まで低下した。一方、腎臓のnNEは心不全の進展によっても変化しなかった。12週齢DRラットでは、短時間の高炭酸ガス負荷では腎臓のiNEは3倍程度増加するが、心臓のiNE増加は軽度であった。負荷中止後、心臓、腎臓ともiNEは速やかに負荷前のレベルに戻った。一方、12週齢DSラットでは、安静時のiNEは心臓、腎臓ともDRラットに比べ2倍程度高値であり、かつ短時間の高炭酸ガス負荷により心臓、腎臓ともiNEは著しく増加した。また、高炭酸ガス負荷中止後もiNE高値が遷延した。すなわち、心不全発症前の代償性心肥大期において、心臓および腎臓の組織レベルではNE濃度が上昇しており、特にストレス後の著しいNE高値の持続が心筋障害の出現や心不全の病態伸展に関与するとが、覚醒下のモデルにおいても示唆された。また、非肥大心ではiNEがあまり増加しない程度の負荷でも肥大心ではiNEの増加が著しく、このストレスに対する反応性の違いも心筋不全の伸展に関与すると考えられる。現在、心不全発症後に、これらの変化がどのように推移するか検討を進めている。
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