2006 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化バイオメディエーターとしてのC反応性蛋白質-その分子機序と臨床的意義-
Project/Area Number |
17590725
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊藤 正明 三重大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00223181)
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Keywords | C反応性蛋白質 / Rho / Rho-kinase / 血管内皮細胞 / PAI-1 |
Research Abstract |
CRP刺激によるPAI-1発現誘導に関与するRho/Rho-kinaseシグナルについて検討した。Antioxidants(PDTC 30μM, TEMPO 1μM)は、CRP刺激で誘導される活性型RhoAを抑制した。CRP刺激によりRho-kinaseの基質であるミオシンホスファターゼMYPT1サブユニットのThr850のリン酸化の亢進が認められたが、Thr696のリン酸化は亢進せず、Thr850がRho-kinaseの活性をモニターする良いリン酸化部位であることが判明した。Rho-kinase阻害薬(Y-27632)はCRP刺激によるThr850のリン酸化亢進を強く抑制し、またantioxidant(NAC30mM)も同部位のリン酸化を有意に抑制した。さらにantioxidants(NAC;10-30mM,PDTC;10-30μM)は、CRPにて誘導されたPAI-1の発現を有意に抑制した。PKC阻害薬(GFX;5μM)もCRPに誘導されるPAI-1の発現を有意に抑制した。以上より、CRPによるPAI-1の発現誘導に関与するRho/Rho-kinaseシグナルは、酸化ストレス(ROS)を介して活性化されていることが判明し、さらにPKCも関与していることが疑われた。 高グルコース刺激による血管内皮細胞でのPAI-1発現誘導におけるRho/Rh(Rho-kinaseシグナルに関して検討した。高グルコース刺激(グルコース濃度>18mM、12時間刺激)により、内皮細胞において有意にPAI-1の発現誘導が認められた。高グルコース刺激によりRhoAが有意に活性化され、Y-27632はこのPAI-1発現増強を有意に抑制した。高グルコース刺激によりNF-kB活性は有意に増強され、その活性化はY-27632の投与により有意に抑制された。NF-kB阻害剤(Parthenolide, BAY11-7082, SN50)は、高グルコース刺激によるPAI-1の発現増強を有意に抑制した。以上より、高グルコース刺激による内皮細胞でのPAI-1の発現誘導にはRhoA/Rho-kinaseシグナルの活性化によるNF-KB活性化が関与し、糖尿病・メタボリックシンドロームにおける動脈硬化発症・進展にRho/Rho-kinase、NF-kBシグナルが重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)