2005 Fiscal Year Annual Research Report
心不全進展における小胞体-ユビキチン・プロテアソーム系の役割の解明
Project/Area Number |
17590731
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南野 哲男 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30379234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 成二 大阪大学, 保健センター, 助手 (90379272)
堀 正二 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20124779)
北風 政史 国立循環器病センター, 臨床開発部, 部長(研究職) (20294069)
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Keywords | ユビキチン / プロテアソーム / 心不全 / アポトーシス |
Research Abstract |
肥大心ならびに不全心における特徴の一つは、ナトリウム利尿ペプチドなどの蛋白産生の亢進である。新たに合成された分泌蛋白質や膜蛋白質は小胞体内で正しくフォールドされたのち分泌経路に運ばれる。しかしながら、過剰な蛋白質産生亢進や酸化ストレス/虚血/低酸素等のストレスによるミスフォールド蛋白質(高次構造上の異常タンパク質)の小胞体内蓄積は、小胞体ストレスとして作用する。また、ユビキチン・プロテアソーム(U/P)系を介する蛋白分解は小胞体関連分解のみならず細胞周期、遺伝子発現、骨格筋細胞リモデリングなどで重要な役割を果たし、プロテアソーム活性低下は小胞体発信アポトーシスを増強するのみならず小胞体非依存性アポトーシスをも生じる。このように小胞体-ユビキチン・プロテアソーム系は、アポトーシスシグナル発信の新たな場(細胞内小器官)として注目されている。我々は、ヒト不全心筋サンプルを用いた検討にて、小胞体シャペロンGRP78発現亢進ならびに小胞体特異的アポトーシスシグナルCHOP/GADD153の発現誘導を報告した。また、ヒト不全心にてユビキチン化蛋白質が心筋細胞内に過剰に蓄積していることを報告した。さらに、マウス心不全モデルにおいて、ユビキチン化蛋白質蓄積とともにプロテアソーム活性低下を見出した。培養心筋細胞において、プロテアソーム阻害剤処理により、心筋アポトーシスならびにアポトーシス促進蛋白であるp53やBaxの蛋白蓄積を認めた。心筋アポトーシスはRNA干渉法によるp53やBaxのノックダウンにより部分的であるが有意に抑制された。これらの新たな知見は、ヒト不全心における小胞体-U/P系障害の存在を強く示唆するものである。
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Research Products
(6 results)