2005 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮特異的接着分子を標的とした糖尿病性血管障害の病態解明と治療法の開発
Project/Area Number |
17590734
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石田 達郎 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00379413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 光宏 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40135794)
平田 健一 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (20283880)
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Keywords | 接着分子 / 糖尿病 / 血管内皮 / 網膜症 / 血管新生 / 動脈硬化 / 糖尿病性血管障害 / 炎症 |
Research Abstract |
1.糖尿病が血管内皮特異的接着分子(endothelial cell-selective adhesion molecule : ESAM)の発現に及ぼす影響 ESAMが糖尿病性腎症の成因にはたす役割を検討する目的で、ヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)を高血糖およびインスリンで刺激し、ESAMの発現をノザンブロッティングで検討した、ESAMは定常状態において血管内皮細胞に強く発現しているが、高血糖刺激により発現が時間依存的に減少した。一方、インスリン刺激では発現は変化しなかった。高血糖によるESAMの発現低下の生理的意義を明らかにするために、野生型マウスおよびESAM欠損マウスより血管内皮細胞を単離培養し、boyden chamberの系を用いて血管透過性を測定したところ、正常の内皮に比べてESAMの発現のない内皮細胞では著明に透過性が亢進していた。また、内因性にESAMを発現しない線維芽細胞にESAMを強制発現させ透過性を検討したところ、透過性が低下していた。すなわち、ESAMの血管内皮における発現は血管透過性と逆相関し、ESAMの発現低下により血漿蛋白が漏出する可能性が示唆された. 2.ESAMがヒトの脂質代謝および虚血性心疾患にはたす意義の検討 生体内でのESAMの発現が糖尿病性腎症にどのように関与するのかを明らかにするために、ESAM欠損マウスと野生型マウスにストレプトゾトシンを腹腔内投与し糖尿病を作製した。各々のマウスにおける尿タンパク、尿アルブミン、血糖などを比較検討した。ESAM欠損マウスは無刺激状態でも尿中の蛋白およびアルブミン濃度が野生型マウスに比して増加しており、ESAMの発現低下が生体内において糸球体からの蛋白漏出を促進することが示唆された。また、糖尿病状態でもESAM欠損マウスは尿中の蛋白およびアルブミン濃度が野生型マウスに比して増加しており、ESAMは正常状態でも糖尿病状態でも糸球体からの蛋白漏出を制御することが示唆された。さらに、糖尿病状態にするとESAM欠損マウスは野生型マウスよりも低タンパク血症、脱水、高血糖をきたしやすく、死亡率が高いことが明らかになった。 以上の結果より、ESAMは血管透過性を介して糖尿病性腎症の成因を制御しているとともに、糖尿病の重症度そのものにも関与していることが考えられた。
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Research Products
(6 results)