2005 Fiscal Year Annual Research Report
ギャップ結合リモデリングへのレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の関与
Project/Area Number |
17590738
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
大草 知子 山口大学, 医学部, 助手 (00294629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 益徳 山口大学, 医学部, 教授 (60116754)
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Keywords | 頻脈性不整脈 / ギャップ結合 / コネキシン / レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系 / 興奮刺激伝播 |
Research Abstract |
頻脈性不整脈は、日常臨床で最もよくみかける不整脈で、その発生・維持には、心筋細胞の機能的および器質的リモデリングの関与が考えられる。そのうち器質的リモデリングには心筋の細胞間結合構成蛋白質の変化が関与する。細胞間結合であるギャップ結合(GJ)は、隣接する細胞を直接連結するチャンネルにより構成され、細胞間のイオンやシグナル伝達物質、1KDa以下の分子交換を行い興奮伝播や電気的結合を調節する。GJはconnexin (Cx)蛋白により構成され、心筋では4つの異なったCx蛋白が発現し、半減期が1〜2時間と非常に短く短時間のうちに容易に様々な負荷の影響をうける。また、Cxの安定性はリン酸化により調節され、Cx43はcAMP、PKAにより活性化、PKC、PKGおよびMAPKにより機能抑制が生じ、蛋白の変性や崩壊が促進される。 本研究では、頻脈性不整脈の不整脈基質として、GJリモデリングに焦点をあて、以下の目的にて研究を行った。1)Cxの質的・量的変化が頻脈性不整脈の発生・維持へどのように関与するのか、2)GJリモデリングに関与する情報伝達系のうち、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系はどのように関わっているのか、3)GJリモデリングを制御するupstream治療として、RAA系阻害薬を位置づけることが可能か否か。その結果、慢性AF患者心房筋のCx40、43、さらに近年GJでの局在が確認されたIP3Rの発現量変化を解析したところ、Cx40発現量の減少とリン酸化の増加、IP3R発現量の増加を認め、AFの病態形成への重要性が示された。また、心筋細胞への高頻度電気刺激負荷は、早期よりangiotensin II (AGII)およびMAPK系を介してCx43発現量増加を来たし電気生理学的特性に変化を生じ、これらの変化はAGII受容体拮抗薬により調節された。さらに、Cx43はAGIIの下流にあるaldosteroneのgenomicおよびnon-genomic効果により、その発現量調節を受けることが判明した。以上より、GJリモデリングは細胞間の興奮伝播異常に反映され、回帰性頻脈性不整脈の発生・維持に関与する重要な基質と考えられた。また、GJリモデリングへのRAA系の関与が証明され、RAA系制御は頻脈性不整脈のupstream治療としての可能性が示された。
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