2005 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白ホスファターゼ1βを介する不全心筋内リン酸化制御異常の解明と治療応用
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17590739
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
池田 安宏 山口大学, 医学部, 助手 (00260349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 雅文 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90294628)
青木 浩樹 山口大学, 医学部, 助教授 (60322244)
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Keywords | 慢性心不全 / 拡張型心筋症 / 蛋白ホスファターゼ1 / アデノウイルスベクター / アデノ随伴ウイルスベクター / 心筋症ハムスター / 高効率遺伝子導入 / Inhibitor-2 |
Research Abstract |
不全心筋で上昇している蛋白ホスファターゼ1活性(PP1)を補正したときに、心不全の進行が抑制されるかどうか、心筋症ハムスター高効率遺伝子導入モデルを用いて検討した。心筋症ハムスターでは心不全を発症する28週齢においてSRを含むマイクロソームにおけるPP1 Catalytic Subunit (PP1C)の蛋白発現が亢進しPP1上昇のメカニズムであると考えられた。In hibitor-2 (INH-2)遺伝子導入は、筋小胞体を含む分画であるマイクロソームでPP1Cの蛋白発現量を減少させ、PP1活性を抑制する作用を示した。心不全症状が発現している心筋症ハムスターに高効率心筋遺伝子導入法でINH-2を導入し、心機能・心不全の経過を観察した。遺伝子導入1週間後、明らかに左心室内径が縮小し、%FSでは経時的な低下が抑制され、心不全進行における左室リモデリングを正常化した。3ヶ月間の長期経過では生命予後も改善し、膜分画におけるPP1の阻害は心不全治療の有望なターゲットであることが示唆された。(Yamada et al. FASEB J 2006)。 INH-2心筋内遺伝子導入にみられた、PP1阻害効果が化学物質によるPP1阻害で得られるかどうか検討した。選択的PP1阻害剤であるtautomycin (TT), tautomycetin (TC)を使って単離培養心筋細胞に対するPP1阻害の影響を細胞収縮性、細胞内Ca2+トランジエント、細胞生存率に関して調査した。TT/TCは、細胞収縮率、Ca^<2+>ハンドリングの改善効果はIMH-2遺伝子導入と同様にあるものの、長時間の培養ではCa^<2+>非依存性の細胞死を起こすことが判明した。INH-2による心不全改善効果はPP1の化学的阻害では単純には再現できないことが判明した(日本循環器学会70th総会で発表)。 PP1 Catalytic Subunitのisoform特異的なノックダウンベクターに関しては、現在ウイルス作成が完了しており、今後、その生理学的効果について研究を進める予定である。
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Research Products
(7 results)