2006 Fiscal Year Annual Research Report
造影超音波法による粥状動脈硬化巣の病勢診断に関する研究
Project/Area Number |
17590741
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
大森 浩二 香川大学, 医学部, 助教授 (00263913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 雅和 香川大学, 医学部, 教授 (20153489)
四宮 かおり 香川大学, 医学部, 助手 (70380160)
竹内 浩人 香川大学, 医学部, 助手 (90372721)
松本 義人 香川大学, 医学部, 助手 (80311827)
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Keywords | 微小気泡 / 超音波 / 血管新生 / 白血球 / 顆粒球コロニー刺激因子 / 側副血管 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度、マウスの下肢虚血部位への微小気泡(MB)送達実験においてMBの静注直後の高音圧照射による微小出血が確認された件について、安全性の面からさらなる検討を行った。結果、組織内微小出血は、炎症すなわち、白血球の浸潤を刺激した。本課題は粥腫の微小血管の画像化を目標とすることが、本法により粥腫に炎症を惹起、ひいては粥腫を不安定化させる可能性が示された。しかしながら、このように誘導された白血球は血管内皮増殖因子を分泌することが知られており、虚血組織に対しては血管増生の促進効果が期待される。実際、局所に顆粒球をリクルートし活性化する顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を用いた血管新生療法が研究されている。そこで、本来、副作用と考えられる起炎性の治療的意義を追究した。まず、虚血肢でも十分な信号を得る照射条件とMBの濃度で、300μg/kgのG-CSFの全身投与を凌駕する白血球(CD34陽性細胞)の組織浸潤が得られ、400μg/kgと同等の毛細血管数の増加が示された。ここで、心筋梗塞に対するG-CSF単独の血管新生療法では、高用量では効果があるものの、冠動脈再狭窄を促進するなどの副作用が懸念されるとの報告を知り、本法をG-CSFと組み合わせることによってG-CSFの投与量を減少させ、副作用なく同様の血管新生効果が得られるという仮説を得た。検証実験の結果、単独で血管新生効果を示しうる最小量のG-CSF(300μg/dl)を虚血肢の造影超音波法の前日に投与すると、組織白血球数、毛細血管数、側副血管数のいずれにおいてもそれぞれの単独療法より、有意に高い効果が得られた。このように、粥腫という、炎症をさけるべき組織の超音波造影法の安全性に関する検討から、新たな、アプリケーションの可能性が示された。本成果は、第8回国際造影超音波シンポジウム、第71回日本循環器学会で発表した。
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Research Products
(3 results)