2005 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化症患者に於ける脆弱性の評価・検討とその指標の臨床応用
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17590753
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉山 正悟 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (90274711)
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Keywords | 動脈硬化症 / 頸動脈超音波検査 / プラーク安定化 / 脂質低下療法 / スタチン / コレステロール / 血管内皮細胞障害 / 糖尿病 |
Research Abstract |
超音波検査において低エコー輝度プラーク(echolucent plaque)は脆弱なプラークとして認識される。我々は非高脂血症冠動脈疾患患者において、スタチンによる積極的脂質低下療法が脆弱頸動脈プラークを安定化させ得るかについて頸動脈超音波検査にて検討した。非高脂血症冠動脈疾患患者60名をダイエット群30名とプラバスタチンを投与するスタチン群30名に分け、頸動脈プラークエコー輝度をintegrated backscatter(IBS)解析にて定量化測定し、プラークの最大intima-media thickness(プラークIMTmax)、各脂質パラメータ、high-sensitivity CRPの変化を観察した。平均6.2ヶ月の観察期間においてスタチン群ではT-CHO、LDL-C、hs-CRPは有意に低下し、ダイエット群ではT-CHOのみが中程度低下した。スタチン群ではecholucentプラークのエコー輝度が有意な増加(c-IBS:-18.5 to -15.9 dB)を示し、プラーク安定化が認められたが、ダイエット群では認めなかった(-18.2 to -18.9 dB)。プラークIMTmax値は両群とも変化しなかった。更にT-CHO、LDL-C変化量とc-IBS変化量には有意な負の相関を認めた。スタチンを用いた積極的脂質低下療法は非高脂血症冠動脈疾患においても、約6ヶ月という短期間から脆弱プラーク安定化に効果的であることが明らかとなった。非侵襲的で繰り返し行うことができるIBSを用いた頸動脈エコー検査により、動脈硬化病変の質的評価を定量的に行う事は、high riskな動脈硬化患者の治療、管理にあたって有用であると考えられた。血管内皮細胞障害は、心血管イベントのリスクファクターである事が示されており、我々は人血中にCD144陽性血管内皮細胞由来microparticles(CD144-EMP)が存在することを示し、糖尿病患者でその血中レベルが上昇している事を明らかにした。このCD144-EMPレベルは糖尿病患者に於いて有意な独立した冠動脈疾患の危険因子である事が明らかとなった。
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Research Products
(3 results)