2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590754
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
米持 英俊 Oita University, 医学部, 准教授 (40191671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 尚彦 大分大学, 医学部, 講師 (30263239)
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Keywords | 活性酸素種 / 高血糖 / ミトコンドリア / アポトーシス / 熱誘導蛋白 |
Research Abstract |
糖尿病患者では再灌流後や心筋梗塞後での心不全発症率が高く、その生命予後も不良であることが疫学調査等で明らかにされている。最近、血管病変とは無関係な代謝障害に起因する心筋細胞障害、いわゆる糖尿病性心筋症がその一因と考えられるようになったが、その病態は不明である。そこで、私どもは高血糖によるミトコンドリアでの代謝障害により厳格にコントロールされていた活性酸素種の制御が破綻し、制御不能となった多量の活性酸素種がミトコンドリア機能障害による細胞死(アポトーシス)を引き起こすとの仮説を幼弱ラット培養心筋細胞で検討した。 平成17年度の研究で、高血糖は心筋細胞に対して、相反する二つの方向性の作用を示しことを明らかにした。さらに、この作用はミトコンドリアでの糖代謝による活性酸素種を介し、細胞の生存のシグナルから細胞死(アポトーシス)のシグナルへの転換は細胞のレッドクス状態に依存していることを示した。また、高血糖によりアポトーシスがむしろ減少している細胞群で外因性ストレスに対する反応が亢進していることを明らかにした。 平成18年度の研究では高血糖、糖尿病での細胞死や虚血耐性の機序とそのシグナル伝達について検討した。糖尿病モデルのSTZ-induced DMでHSPの発現低下とPI3-キナーゼ/AKtシグナル系の活性低下が認められ、さらに培養心筋細胞でもAKtとGSK-3βのリン酸化が低下していた。この時、HSP70の発現が低下し、虚血耐性が低下していた。また、高血糖によるアポトーシスの減少は細胞生存シグナルであるPI3-キナーゼ/AKtシグナル系の活性化によることがワートマニンによる抑制作用から確認された。また、高血糖では熱ストレスによるHSP70発現が低下していた。 平成19年度では、これまでの成果をまとめて循環器学会総会・学術会議のシンポジウム:糖尿病性心血管病の特徴と新たな治療で[Role of mitochondrial ROS production associated with glucose metabolism in development of diabetic cardiomyopathy.]として発表した。
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