2005 Fiscal Year Annual Research Report
発生工学を用いたアンジオテンシンAT2受容体の樹状細胞分化と抗動脈硬化作用の解析
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17590760
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山田 浩之 京都府立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00240036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 弘明 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (10239072)
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Keywords | アンジオテンシン / 動脈硬化 |
Research Abstract |
[研究の概要] 骨髄細胞はアンジオテンシンII(Ang II)タイプ1(AT1)受容体およびタイプ2(AT2)受容体を発現しているが、動脈硬化病変形成や血管リモデリングへの関与については十分解明されていない。本研究の目的は、アポE欠損(apoE-KO)マウスおよび野生型マウスの骨髄をAT1受容体欠損(AT1-KO)マウスまたはAT2受容体欠損(AT2-KO)マウスの骨髄で置換した骨髄移植モデルを用いて、骨髄由来細胞AT1、AT2受容体の動脈硬化形成および血管リモデリングにおける機序を明らかにすることである。 [研究実績] apoE-KOマウスをレシピエントマウスとして用いた動脈硬化モデルでは、AT1-KO骨髄移植マウスでは野生型骨髄移植マウスに比べて動脈硬化病変形成が57%有意に抑制されていた(0.31±0.04vs0.71±0.20mm^2,P<0.05)。MOMA-2陽性マクロファージの集積はAT1-KO骨髄移植マウスにおいて有意に抑制されていた(62±3%,n=6,P<0.01)。一方、オイルレッドO陽性領域は野生型骨髄移植マウスにおいて高値であった。(1.6±0.7vs3.8±0.9%;P<0.05)。さらに、病変部へのTリンパ球の浸潤をCD3陽性細胞より検討したところAT1-KO骨髄移植マウスでは有意に抑制されていた(1.2±1.0versus23.8±8.0cells;P<0.01)。その機序として、AT1-KOマウス骨髄におけるマクロファージ前駆細胞数の減少、AT1-KOマウス単球・マクロファージにおける活性化および泡沫細胞形成能の低下が関与している可能性が示唆された。また、野生型マウスをレシピエントマウスとして用いた血管傷害モデルでは、AT1-KO骨髄移植マウスでは野生型骨髄移植マウスに比べて新生内膜増生が抑制されており、逆にAT2-KO骨髄移植マウスでは、増大していた(内膜/中膜比、AT1-KO:0.17±0.04、AT2-KO:0.65±0.11、WT:0.32±0.06、p<0.05)。AT1受容体とAT2受容体は、単球の活性化やその機能において互いに拮抗作用を有することが示唆された。 [研究発表および今後の方針] 上記の研究成果は、American Heart Association Scientific Sessions 2005において発表された(Circulation. 2005;112:II-45.(abstr.),Circulation. 2005;112:II-163.(abstr.))。今後は、樹状細胞をはじめとした免疫系細胞の分化およびその活性化ならびに骨髄由来前駆細胞におけるAT1、AT2受容体の機能を中心に研究を進める予定である。
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