2005 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化性疾患への創薬標的としてのアンジオポエチン様増殖因子(AGF)の機能解析
Project/Area Number |
17590762
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
尾池 雄一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90312321)
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Keywords | 生活習慣病 / メタボリック症候群 / 肥満 / インスリン抵抗性 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
我々はアンジオポエチン様増殖因子(AGF/Angpt16)に血管新生、創傷治癒作用があることを報告してきた。本研究では、AGFの生理的機能を明らかにするためにAGF欠損マウスを作成し解析した。AGF欠損マウスの80%以上は子宮内で血管の異常を示し、耐性致死であった。このことからAGFの発生期における血管新生因子としての重要な役割を示唆していると考えられた。一方、生存して生まれてきたAGF欠損マウスは全例、基礎代謝量が低下しており、著明な肥満、引き続きインスリン抵抗性、耐糖能異常、及び高脂血症を認めメタボリックシンドローム様の表現型を示した。逆に、AGF過剰発現マウスは基礎代謝量が上昇していること、骨格筋・脂肪細胞では脂肪酸β酸化酵素やエネルギー代謝に関わる分子の発現増加が認められ、エネルギー消費の亢進が認められた。また、高脂肪食下では野生型マウスが肥満及び糖尿病を発症するのに対して、その発症を予防できた。次にAGFの肥満・糖尿病病態モデルマウスへの効果をアデノウイルスの系を用いて検討した。血中AGF濃度を2〜3倍に上昇させることにより肥満、糖尿病の症状を著明に改善できた。以上より、AGFが動脈硬化性疾患の基盤病態であるメタボリックシンドロームの治療標的分子となりうる可能性を見出した。さらに、マウス下肢虚血モデルを用いてAGFの病態における血管新生作用を検討した。アデノウイルスを用いたAGFの投与群は、コントロール群(GFP投与)に比べ下肢の切断から回避できることを見出した。現在、本研究目的であるAGF受容体の同定、AGFの血管病態への直接作用を検討している。
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Research Products
(7 results)