2006 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化性疾患への創薬標的としてのアンジオポエチン様増殖因子(AGF)の機能解析
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17590762
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
尾池 雄一 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (90312321)
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Keywords | ERK / MAPK / NO / 血管新生 |
Research Abstract |
本研究の準備段階としてアンジオポエチン様増殖因子(AGF)を発現させたマウスの皮膚において著明に血管新生の誘導が確認されAGFに血管新生作用があることが示し(Oike et al. PNAS 2003)、精製AGF蛋白が血管内皮細胞を用いたin vitroの実験で血管内皮細胞の遊走能を促進させること、及びin vivoでもマトリゲルやマウス角膜血管新生誘導実験において血管新生を誘導することを報告してきた(Oike et al. Blood 2004)。本研究では、まずマウス下肢虚血モデルに対してGFPを発現するアデノウイルス投与を対照コントロールとしてAGFを発現するアデノウイルスを投与することにより下肢切断のイベントに差異が出るかどうか検討した。結果としてAGF群において明らかに血流の回復が亢進し下肢切断のイベントが減少した。免疫組織学的解析により血管新生(angiogenesis)の亢進と血管造影検査によりarteriogenesisの亢進の両者により血流が回復していることが明らかとなった。次にその分子機構を明らかにするためにin vitroにおいて血管内皮細胞にAGFを投与するとERKの活性化、eNOSの活性化、NOの産生が誘導されることが明らかとなった。また、マウスを用いた実験でeNOS遺伝子欠損マウスや野生型にL-NAMEを投与した群ではAGF投与によるマウス下肢虚血モデルでの下肢切断のイベントの減少作用はみられず、AGFによる血管新生誘導にはNOの産生が重要であることを明らかにした(投稿準備中)。本研究によりAGFの発現を上昇させることが虚血性疾患に対しての治療につながる可能性を見出した。また、AGFは骨髄由来の細胞に広く発現していることを考えると現在臨床で行われている骨髄細胞や骨髄由来の末梢循環細胞を用いた虚血性疾患に対しての細胞治療の分子機構の一つとしてAGFの作用も含まれている可能性を考えている。
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Research Products
(2 results)