2005 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化の発症・進展における肺炎クラミジアLPSと自然免疫応答の役割
Project/Area Number |
17590763
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
石井 裕子 順天堂大学, 医学部, 助手 (00251546)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 克己 順天堂大学, 医学部, 講師 (60200119)
|
Keywords | 循環器・高血圧 / 生体分子 / 自然免疫 / 菌体成分 / 細胞応答 / 単核球 |
Research Abstract |
動脈硬化症は種々のリスクファクターが関与する複合疾患であるが、近年新たなリスクファクターとして、肺炎クラミジアの感染による動脈硬化巣の慢性炎症が注目されている。しかしながら動脈硬化の病態における肺炎クラミジアの役割については不明な点が多い。 本研究では、肺炎クラミジア感染による動脈硬化のリスクの正確な把握とそれを軽減するための基礎研究として、肺炎クラミジアLPSの生理作用とそれに対する生体防御反応である自然免疫機構を明らかにすることを目的とし、ヒト末梢血単核球を用いて検討を行った。 その結果、クラミジアLPSは特殊な構造を持つにもかかわらず、大腸菌LPSと同様にLPS結合タンパク質(LBP)依存的にヒト末梢血単球に結合し、炎症性サイトカインの産生を誘導することが示された。興味深いことに、単球に対するクラミジアLPSの結合にはLPS受容体であるCD14およびTLR4に加え、TLR2およびCD11bが関与し、細胞の活性化にはCD14、TLR4およびTLR2を介したシグナルが関与することが明らかとなった。さらに、結合実験により、クラミジアLPSはLBPおよびCD14両分子に直接結合するが、大腸菌LPSに比べクラミジアLPSはLBPおよびCD14との親和性が低いことが示された。 以上の結果から、クラミジアLPSのLBPおよびCD14分子に対する親和性の低さが生物活性の弱さを規定する一因となり、クラミジア感染による炎症応答の持続に寄与している可能性が示唆された。
|