Research Abstract |
'大阪大学で作成された''GFP-transgenic mouseの骨髄細胞をC57BL/6マウスに移植し,GFPキメラマウスを作成した.このキメラマウスにLPSを用いて急性肺損傷を惹起させ,急性肺損傷後1,2,6ヶ月後の肺組織より肺細胞を分離し,それらの細胞表面マーカーを検討することにより解析した.その結果,急性肺損傷後6ヶ月の段階で,肺胞構成細胞中のGFP陽性の割合が減少した.このことは,肺組織修復急性期においては骨髄由来細胞が大きな役割を果たすものの,慢性期には肺既存の幹細胞が修復にかかわることを示している.また,肺組織幹細胞の分画にはGFP陽性細胞は存在せず,骨髄細胞が肺組織幹細胞にはなり得ないと考えられた.以上のことより,肺組織の修復には骨髄由来細胞だけではなく,肺既存の組織幹細胞の存在が重要であることを明らかにした.そこで,気腫化肺の修復における肺組織幹細胞の役割を検討した.気腫化肺再生モデルは,以前我々が報告したエラスターゼ肺気腫におけるhepatocyte growth factor(HGF)投与モデルを用いた.その結果,HGFにより肺再生が生じる前に,肺組織中にCD34などの幹細胞マーカーを持つ細胞群の増加することが必要であることを明らかにした.また,HGFがこのような肺組織幹細胞群を増加させるとともに,これら幹細胞群の成熟肺細胞への分化を促進することも明らかにした.これらの成果はAm J Respir Mol Cell Biolに投稿中である.また,この成果の臨床応用を現在進めている.
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