2006 Fiscal Year Annual Research Report
IL-26の誘導する腫瘍血管新生を標的にした非小細胞肺癌の新規治療法の開発
Project/Area Number |
17590775
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
沼崎 宗夫 東北大学, 病院, 助手 (50344677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 貴 東北大学, 医学部, 教授 (10261629)
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Keywords | 血管新生 / サイトカイン / 肺癌 |
Research Abstract |
IL-26は、T細胞より産生されるサイトカインである。我々は、IL-26が非小細胞肺癌細胞より非小細胞肺癌の重要な腫瘍血管新生因子であるIL-8の産生を増強することを見出した。この研究結果より、IL-26が非小細胞肺癌細胞の血管新生能を増強するのではないかと仮定し、IL-26が非小細胞肺癌からのENA-78、GRO-alphaやVEGFなどの重要な腫瘍血管新生因子の産生を増強するか検討した。IL-26は、VEGFの産生には影響しなかったが、数種類の非小細胞肺癌細胞株よりENA-78とGRO-alphaの産生を増強した。血管内皮細胞の遊送能を指標として肺癌細胞の血管新生能を検討すると,IL-26で刺激した肺癌細胞の培養上清は、コントロールの上清より血管内皮細胞の遊送を有意に増強した。この増強した血管内皮細胞の遊送能は.IL-8.GRO-alphaやENA-78の阻害抗体の添加により有意に抑制されたが、IL-26やVEGFの添加では影響を受けなかった。さらに、IL-26は肺癌細胞株の増殖には影響しなかった。IL-26の遺伝子をT細胞より単難し、IL-26の発現ベクターを構築し、非小細胞肺癌細胞株に導入した。IL-26を導入した肺癌細胞株の増殖には変化がなかったが、SCID miceに移植した際、Neo遺伝子を導入したコントロールの細胞に比較してその増殖が有意に促進した。CD31による血管染色では、IL-26を導入した細胞株の形成した腫瘍は、血管密度が有意に増加していた。さらに、非小細胞肺癌患者より摘出した癌組織をIL-26に対する抗体で免疫染色を行うと、浸潤しているT細胞が産生している場合がある事が判明した。これらの事より、癌組織に浸潤しているT細胞よりIL-26が産生されると、肺癌細胞よりIL-8などの血管新生因子の産生が増加し、癌の成長を増長する可能性のある事が推測される。
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