2005 Fiscal Year Annual Research Report
IL-10を用いた樹状細胞の機能制御による気管支喘息の治療に関する実験的研究
Project/Area Number |
17590782
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土肥 眞 東京大学, 保健センター, 助手 (60222155)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 良一 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60272556)
山本 一彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80191394)
|
Keywords | 気管支喘息 / 樹状細胞 / 遺伝子治療 / インターロイキン10 |
Research Abstract |
本年度は、申請研究計画に則り、アレルギー性気道炎症モデルにおけるインターロイキン(IL)-10の効果を検討した。さらに、その作用機序について、樹状細胞(dendritic cell : DC)に及ぼす作用についても解析した。実験系としては、BALB/cマウスを卵白アルブミン(OVA)を用いて全身感作した後に、OVA溶液を吸入してアレルギー性の気道反応を惹起する実験系を用いた。この系に、OVAで感作する前の時点(以下前打ちと呼称)、あるいはOVA溶液を吸入する直前(後打ちと呼称)にIL-10産生プラスミドを静脈内に投与した。その結果、以下のような結果を得た。 1)IL-10の前打ち、後打ちのいずれの方法でも、気道過敏性、好酸球の気道への浸潤、サイトカイン産生、病理学的所見といった、気道炎症の指標は抑制された。 2)前打ちでは、全身性反応の場の代表である脾臓および、肺局所のいずれにおいても、OVA抗原特異的なTh2型の免疫応答は抑制されていた。これに対して、後打ちの場合には、肺局所の反応のみが抑制されていた。 3)肺及び脾臓におけるDCの機能(抗原呈示能、サイトカイン産生能)を検討したところ、前打ちでは両者をともに抑制したのに対して、後打ちでは肺のDCのみが抑制されていた。 4)肺局所のDCの縦隔リンパ節への遊走も、IL-10により抑制されていた。 5)IL-10欠損マウスでは、肺局所でのDC機能は抑制されず、むしろ亢進していた。 6)IL-10の抑制効果は、抗原とDCとが共存する条件下で発揮された。 以上の結果より、IL-10は抗原の侵入する局所において、免疫応答を抑制し、アレルギー性炎症反応を抑制することが明かとなった。その機序の一つとして、DCの諸機能を抑制することが判明した。今後は、気道のリモデリングに対する効果について検討する必要があると考えられた。
|
Research Products
(4 results)