2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590785
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久米 裕昭 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50303631)
|
Keywords | 気管支喘息 / 好酸球浸潤 / Rho / IL-5 / ケモカイン / 気道平滑筋 / S1P / G_i |
Research Abstract |
気管支喘息の基本的な病態である好酸球浸潤、気道過敏性の亢進の機序として低分子量G蛋白であるRhoとその標的酵素であるRho-kinaseに着目してその役割について検討した。 BALB/Cマウスを卵白アルブミン(OA)で感作した後に、OAを5日間連日吸入し抗原刺激をおこなった。最後の抗原刺激から24時間以内に、気管支肺胞洗浄の採取と病理組織標本の作製をおこなった。その結果、気管支肺胞洗浄(BAL)液の分析では、非感作マウスと比較して好酸球数の有意な上昇が認められた。そして、炎症性サイトカインやケモカインの性状を調べると、非感作マウスに比べIL-5、IL-13、エオタキシンの濃度が著明に亢進していた。病理組織学的な検討では、気道周囲への好酸球の著明な浸潤、および気道粘膜における杯細胞の過形成が認められた。一方、Rho-kinase阻害薬である塩酸ファスジルを前処置してから抗原刺激を行うと、BAL液中の好酸球数は約30%に低下した。さらに、IL-5、IL-13、エオタキシンの濃度も全て著明に低下した。さらに、病理標本においても気道壁への好酸球浸潤、杯細胞過形成に対する著しい抑制が認められた。以上より、好酸球浸潤にはRhoが深く関与している。 モルモット気管平滑筋の切片を用い、等尺性張力を測定し、喘息の病態に関与する肥満細胞から放出されるスフィンゴシン1リン酸(S1P)によるメサコリン(MCh)収縮に対する反応性の亢進(気道過敏性)の機序の解明をおこなった。百日咳菌体毒素(PTX)で処理した後では、S1P曝露により誘導されるMChによる収縮反応の増強効果は著明に低下した。この抑制作用はPTXの濃度、および処理時間に依存していた。さらに、S1P_3受容体の阻害薬であるsuramineの存在下でSIPを曝露すると、MCh収縮に対する反応性の亢進は抑制された。以上より、S1Pによる気道過敏性の亢進にはS1P_3受容体、G_iが重要な役割を果たしている。
|