2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590785
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久米 裕昭 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50303631)
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Keywords | Rho / Rho-kinase / 酸化ストレス / βアドレナリン受容体 / 気道平滑筋 / 細胞増殖 / Ca^<2+>感受性 / スタチン |
Research Abstract |
気流制限、βアドレナリン作用の低下、気道リモデリングなどの気管支喘息の病態における低分子量G蛋白Rhoとその下流の酵素であるRho-kinaseの関与について検討した。 モルモット気管平滑筋をCa^<2+>蛍光色素であるfura-2で負荷し、等尺性張力と細胞内Ca^<2+>濃度を同時測定した。酸化ストレスの指標である過感化水素により濃度依存性に細胞内Ca^<2+>濃度の上昇をともない収縮が生じた。しかし、この収縮はRho-kinase阻害薬であるY-27632により細胞内Ca^<2+>濃度を低下させることなく抑制された。 メサコリン収縮に対するβアドレナリン受容体刺激薬の弛緩作用を調べると、他のβアドレナリン受容体を介さないcAMP関連薬物と比べ、著しい細胞内Ca^<2+>濃度の低下をともなうことなく同等の弛緩効果が得られた。これは、細胞内Ca^<2+>に対する感受性の低下が関与していることを示している。この経路はβアドレナリン受容体の耐性化に重要な役割をはたし、cAMP依存性のリン酸化よりもcAMP非依存性の経路の方が深く関与していた。 ヒト培養気管支平滑筋(HBSM)細胞の増殖とDNA合成についてそれぞれWST-1、BrdUを用いて解析すると、増殖因子により細胞増殖がDNA合成をともなって認められ、HMG-CoA還元酵素阻害薬であるスタチンを存在させると濃度依存性に細胞増殖とDNA合成が抑制された。この抑制効果は、Rhoの活性に関わるgeranylgeranylpyrophosphateの投与で阻害され、さらに、RhoおよびRho-kinaseの阻害薬であるC3 exoenzyme, Y-27632の投与でもスタチンと同様にHBSM細胞の増殖の抑制が認められた。 以上の結果より、Rho/Rho-kinase系は気管支喘息の多くの病態に密接に関与しており、この疾患の治療における標的蛋白となりうる可能性が考えられる。
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Research Products
(7 results)