2006 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌治療における薬物トランスポーター遺伝子多型の研究
Project/Area Number |
17590786
|
Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
長谷川 好規 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20270986)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 和良 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (50362257)
川部 勤 名古屋大学, 医学部, 助手 (20378219)
|
Keywords | イリノテカン / ABCトランスポーター / 遺伝子多型 / ABCC2 / OATP-C / UGT1A1*28 |
Research Abstract |
薬物トランスポーターは、薬物の排除による生体防御に重要な役割を果たしており、これらの機能の差異は、薬物反応や薬物代謝に影響を与えることが推測される。本研究は、肺癌に対する抗がん剤の薬物代謝、特に薬剤取り込みと排泄にかかわる薬物遺伝子多型の役割とその機能、ならびにこれらの遺伝子多型測定の肺癌治療における臨床的意義について検討することを目的としている.昨年度は、薬剤排泄に係わるABCトランスポーター遺伝子多型解析(A8CC2)を実施したが、本年度は血液から細胞内への薬物取り込みに関係するトランスポーターであるOrganic anion transporting polypeptide (OATP-C)の遺伝子多型解析を実施した。遺伝子多型解析は、シークエンス法を標準法として用いた.また、遺伝子多型解析の結果と臨床情報との関連を分析・評価し、各々の遺伝子多型の臨床的役割について評価した。その結果、イリノテカンによるがん化学療法が施行された群では、OATP-C*1a, OATP-C*1b, OATP-C*15の遺伝子多型頻度がそれぞれ0.31,0.58,0.11であった。イリノテカンの毒性との関連では、OATP-C*15を単独で有する症例では毒性との関連は示されなかったがOATP-C*15とUGT1A1*28をともに有する症例で強い毒性が現れる傾向を示した。0ATP-C*15遺伝子多型の臨床上の有用性については、さらに検討が必要と考えられた。'これらの結果から、薬物トランスポーターの遺伝子多型とこれまでの薬物代謝酵素遺伝子多型を組み合わせて解析することが、効果や毒性予測により有効であることが推測された。
|
Research Products
(6 results)