2006 Fiscal Year Annual Research Report
肺障害の病態における肺胞上皮細胞Bcl-xLの役割
Project/Area Number |
17590789
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 光宏 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90359844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 融 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80346212)
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Keywords | Bc1-xL / 肺上皮細胞 / 過酸化水素 / 肺障害 / ブレオマイシン |
Research Abstract |
(目的) Bc1-xLはアポトーシスに関連する分子として同定されたが、細胞に対して保護作用を有することが報告されている。しかしながら肺胞上皮細胞に対してBc1-xLが細胞保護作用を有するかどうかについての検討は多くない。そこで本研究ではBc1-xLが肺胞上皮細胞傷害とそれに伴う線維化に関与するかどうか明確にするために検討をおこなった。 (結果) 1.過酸化水素負荷による肺上皮細胞由来MLE細胞に対する細胞障害モデルを作製した。過酸化水素は濃度依存性にMLE細胞に障害を誘導した。siRNAを用いてMLE細胞中のBc1-xL蛋白の発現量をノックダウンすると、この過酸化水素による細胞障害が増強する傾向が確認された。 2.ブレオマイシンによる細胞障害モデルを作製し、siRNAを用いて上記と同様の検討を行った。MLE細胞中のBc1-xL蛋白の発現量をノックダウンすると、ブレオマイシンによる細胞障害が増強する傾向が確認された。 3.肺上皮細胞にのみ特異的にBc1-xLを欠損するマウス(肺上皮特異的Bc1-xL欠損マウス)を作製した。肺上皮特異的Bcl-xL欠損マウスでは生後の成長に異常は認めなかった。成長後の肺を組織学的に検討したが、特に形態学的な異常は認めなかった。 (結論) 以上の結果よりBc1-xLは肺の発生および成長には必須ではないと考えられるが、肺上皮細胞において各種ストレスに対して細胞保護作用を有することが示唆された。このことは肺上皮細胞におけるBc1-xLを活性化させることが様々な肺障害の治療法となりうる可能性を示唆した。
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