2006 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維化病態におけるEMTの分子機構の解明とその制御
Project/Area Number |
17590793
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Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
桑野 和善 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (40205266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 昌樹 九州大学, 大学病院, 助手 (50325461)
前山 隆茂 九州大学, 大学病院, 医員 (40380456)
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Keywords | 肺線維症 / 肺損傷 / EMT / アポトーシス / ブレオマイシン |
Research Abstract |
1.TGF-betaによって誘導される肺上皮細胞のEMTとアポトーシスに関する研究 TGF-betaの投与は肺上皮細胞をEMTとアポトーシスへと誘導する。Beta-catenineは、TGF-betaによるEMT誘導の細胞内シグナリングにおいて重要な働きをもつ。培養肺上皮細胞にTGF-betaを投与しEMTを誘導したが、beta-catenin siRNA投与によってEMTは抑制された。また、staurosporineによって上皮細胞はアポトーシスに陥るが、TGF-betaは、このアポトーシスを増強した。In vitroに比較してin vivoでは、アポトーシスやEMTは複雑に制御されていると考えられた。 2.肺損傷、線維化におけるEMTとアポトーシスの研究 特発性間質性肺炎の肺生検組織およびブレオマイシン肺臓炎モデルにおいては、肺上皮細胞のアポトーシスが認められ、肺臓炎と線維化形成に関与している。肺損傷と線維化過程におけるEMTの役割を明らかにするために、ヒト肺生検組織、ブレオマイシン肺臓炎モデルにおいて、上皮細胞のマーカーであるCC10,E-cadherin,T1alpa,CD44v9,とalpha-smooth muscle actinとの2重染色を行なった。ブレオマイシン肺臓炎においては、肺胞上皮細胞のごく少数にEMTの過程が認められた。ヒト肺上皮細胞では、EMTの指標となる2重染色陽性細胞は認められなかった。それに対して、細気管支上皮細胞に、1型、2型肺胞上皮細胞のマーカーが認められ、1型と2型の中間の形質を有する細胞も認めれた。上皮間の再生機構は様々な細胞で相互に転換していると思われるが、EMTは、肺線維化には余り重要ではないと考えられた。
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