2005 Fiscal Year Annual Research Report
肺疾患における一酸化窒素NOによる核酸ニトロ化を介した酸化ストレス制御
Project/Area Number |
17590797
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
寺崎 泰弘 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (50332870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 潔 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 名誉教授 (70045631)
竹屋 元裕 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (90155052)
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20231798)
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Keywords | 8ニトログアノシン / 発癌 / 遺伝子変異 / 肺線維症 / 高濃度酸素暴露 / 生存シグナル / 損傷塩基 / 化生上皮 |
Research Abstract |
ニトロ化をうけた修飾核酸である8ニトログアノシンは発癌や遺伝子変異に関与した核酸損傷の指標として注目されている。我々のグループが世界に先駆けて開発作成した本因子の抗体を用い、ヒトの様々な肺疾患における8ニトログアノシンの生成、局在について解析した。正常のヒトの肺では気管支上皮やマクロファージに軽度の生成所見がみられたが、喫煙の有無についての大きな影響は見いだせなかった。一方ヒト肺線維症ではマクロファージや気道上皮の他、特に化生上皮の細胞質に本因子の強い生成を見いだした。共焦点顕微鏡による2重染色で本因子生成はiNOS、eNOS, hemoxigenase-1、8ニトロチロシンやp53の局在と共通する所見が見られ、免疫電顕では細胞質内の核周囲のミトコンドリア表面に本因子の強い発現が見られた。肺癌では癌細胞の細胞質のみならず特に腫大した核に本因子の発現を認めた。 また高濃度酸素暴露マウス傷害肺やブレオマイシンマウス傷害肺でも傷害された気道や肺胞の上皮とマクロファージに本因子の強い生成を確認した。我々のグループは、また本因子の強力なレドックス活性やHepG2細胞での細胞保護作用を見いだしているので、この結果は、肺傷害上皮細胞にも本因子に細胞保護作用がある可能性を考えた。以上は、本因子が単なる損傷塩基でなく、高い化学的反応性を持つ生理活性分子であり、NOの下流のシグナル伝達分子として、生存シグナルへの関与を示すものと思われた。 傷害を受けた上皮の再生や化生における変異原性や遺伝子傷害、更には発癌機構に本因子を介した活性酸素の関与が示唆された。今後、HPLCを用いた本因子の定量化や培養肺上皮細胞、培養肺癌細胞を用いた状況での本因子の生成動態を解析し、更に本因子添加による細胞保護作用も検討する予定である。
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Research Products
(4 results)