2005 Fiscal Year Annual Research Report
気道微小循環を基盤とする気管支喘息の病態生理の確立とその新規治療への展開
Project/Area Number |
17590800
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
金澤 博 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90332957)
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Keywords | 気道リモデリング / 血管新生 / 誘発喀痰 / 微小循環 / 血管内皮細胞 / 喘息 / 肺生検 / 血管透過性 |
Research Abstract |
第一に、喘息患者の気道壁における微小循環系の量的異常を非侵襲的に定量化する方法を確立した。我々は既に、肺血管内皮細胞の恒常性が種々の血管新生促進因子(vascular endothelial growth factor, hepatocyte growth factor, basic fibroblast growth factor等)と抑制因子(endostatin,angiostatin等)のバランスにて規定されていることを明らかにしている。そこで、肺摘出標本・肺生検標本を用いて、気道壁の新生血管の量的な程度と血管新生促進因子・抑制因子の蛋白量・mRNA量との関連性を示した。この結果を基に、喘息患者の誘発喀痰中の血管新生促進因子・抑制因子の蛋白量を測定し、肺生検標本中のこれら因子の発現量や新生血管の量的な程度との関連性を明らかにした。そして、誘発喀痰中のこれらの因子の測定が、非侵襲的な微小循環系の量的異常を定量化する優れた方法であるかを決定したのである。さらに、喘息患者の生理学的・臨床的指標と誘発喀痰中の血管新生促進因子・抑制因子の不均衡との相関性についても示した。第二に、血管新生促進因子VEGFの作用を調節する因子として、angiopoietin family(Ang-1,Ang-2)の肺内局在と発現量及びその生理作用を初めて明らかにした。肺内の局在と発現量については、肺摘出標本・肺生検標本を用いて免疫組織学的に解析し、Ang-1,Ang-2はVEGFとの共存によりangiogenicにもangiostaticにも作用する可能性を呈示し、喘息病態下でのAng-1,Ang-2の生理作用を初めて明らかにした。さらに、Ang-1,Ang-2の蛋白量の測定に必須であるELISAシステムを構築した。第三に、喘息患者の気道壁における微小循環系の機能的異常を非侵襲的に定量化する方法を確立した。特に、喘息気道における新生血管の透過性亢進能を評価することを主眼とし、airway vascular permeability indexが気道の微小血管透過性の鋭敏な指標であることを明らかにし、気道壁の新生血管の量的な程度と気道の微小血管透過性が有意な関連性を示した。
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