2006 Fiscal Year Annual Research Report
気道微小循環を基盤とする気管支喘息の病態生理の確立とその新規治療への展開
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17590800
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Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
金澤 博 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90332957)
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Keywords | 気道リモデリング / 血管新生 / 誘発喀痰 / 微小循環 / 血管内皮細胞 / 喘息 / 肺生検 / 血管透過性 |
Research Abstract |
平成17年度に実施した喘息患者の臨床検体を用いた解析結果を基に、喘息の新規治療法の開拓と気道リモデリング抑制作用を有する薬剤開発の可能性を模索するために、次のような臨床的検討・基礎的研究を施行した。第一に、マウスの喘息モデルにおいて、VEGFの生理的役割をさらに明らかなものにした。我々は既に、当モデルにおける気道でのVEGFの過剰発現を確認しており、このような実験系において、VEGFの受容体阻害薬・血管新生阻害薬の投与により気道過敏性の亢進が制御されうることを明らかにしたのである。さらに、VEGF過剰発現時におけるangiopoietin family(Ang-1・Ang-2)とVEGFとの相互作用にっいても検討を加え、このようなVEGFの作用を修飾する分子の喘息気道における血管新生調節薬としての可能性を示した。第二に、前年度に我々が喘息患者にて確認した気道壁での新生血管の増加・血管透過性の亢進・内皮細胞機能異常が、喘息患者のみに認められる特異的な病態であるかを明らかにするために、喘息と細胞組織学的な相同性を有する好酸球性気管支炎(Kanazawa H, et al.AJRCCM 2004)や喘息の一亜型である咳型喘息患者に対しても同様の検討を加えた。これらの結果より、気道微小循環から見た喘息の病態生理が既存の喘息の病態概念よりも、より的確なものであることが明らかにされた。第三に、肺血管内皮細胞の機能障害に引き続いて観察される気道リモデリング誘導因子の同定を試みた。これらの因子群の生理作用を詳細に検討することにより、気道リモデリングの抑制が可能となりうると想定される。このように、今後はさらに今回の研究を発展させ・気道リモデリング抑制作用を有する新規化合物の開発を具体化させることにより、画期的な喘息治療の創薬につなげてゆきたいと考えている。
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