2005 Fiscal Year Annual Research Report
慢性閉塞性肺疾患の病態解明:好中球蛋白分解酵素産生能に対するHckの役割の研究
Project/Area Number |
17590801
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山縣 俊之 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80285410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一ノ瀬 正和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80223105)
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 気道炎症 / 好中球 / インテグリン / ケモカイン受容体 / Hck |
Research Abstract |
本年度はCOPD患者、および呼吸機能正常喫煙者、非喫煙者の末梢血好中球を分離し、好中球の活性化や脱顆粒、respiratory burst、遊走・浸潤などの機能にかかわる、CXCケモカイン受容体(CXCR1、 CXCR2)やβ_2インテグリン(CD-11b、CD-18)の、細胞表面における発現をフローサイトメトリーで測定した。その結果、COPD患者ではCXCR1、CD-11b、CD-18の発現が増強していることが明らかとなった。その機序については、CXCR1では喫煙量との相関がみられることから、長期の喫煙暴露が関与していることが推察されたが、他の分子については現時点では明らかな機序は不明である。またCXCRの特異的なリガンドのひとつである血清のIL-8は、COPD患者で非喫煙者に比べ高値を示しており、恒常的なIL-8濃度の上昇が、これらの分子の発現増強に関与している可能性も考えられた。COPDの病態との関連では、CXCR1およびCD-11b発現の程度は、気道の閉塞性障害の程度と有意な逆相関を示し、これらの分子の発現増強が、好中球機能の亢進をもたらし、疾患の発症や進展に関与している可能性が示唆された。 好中球機能の検討では、CXCR1やCD-11bの発現増強が好中球機能に影響を与えるかどうかについて、好中球をIL-8で刺激した際の遊走能や脱顆粒能を測定している。またその機能変容におけるSrc kinaseの関与の可能性について、Src阻害剤を使用して効果を検討中である。さらに、より特異的な検討として、Src kinaseのひとつであるHckの蛋白発現や活性の程度を測定し、好中球表面の各分子の発現との関連や、COPDの病態との関連について検討を行っており、これまでの検討では好中球のHck蛋白発現が、気道の閉塞性障害の程度と逆相関している可能性が認められている。
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