2006 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙関連遺伝子の解析による日本人における禁煙療法の個別化
Project/Area Number |
17590804
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
仲村 秀俊 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00217879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石坂 彰敏 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90176181)
栗原 亜子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80338037)
小川 裕子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00348632)
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Keywords | 喫煙 / 遺伝子 / ニコチン / CYP2A6 / セロトニン / ドパミン |
Research Abstract |
ニコチン依存に関わる因子として、脳内神経伝達物質であるセロトニン、ドパミン系に作用する分子の遺伝子多型は重要と考えられる。セロトニン再取り込みに関与するセロトニントランスポーター(5-HTT)プロモーターの遺伝子多型は喫煙習慣のみならず、肺動脈リモデリングへの関与も示唆されている。本研究では、50歳以上、喫煙歴10pack-years以上の日本人喫煙者(202名)を対象に、この多型と喫煙習慣、肺機能検査、胸部CT所見との関連を検討した。遺伝子型はS/S127剛、S/L61例、L/L9例、その他5例であった。S群(S/S)ではL群(S/L,L/L)に比べ、1日喫煙本数(p<0.05)、喫煙年数(p<0.01)、生涯喫煙量(p<0.01)が多く、気腫化スコアが高く(p=0.01)、%DL_<CO>が低値(p<0.05)であったが、禁煙者の比率、総肺動脈径には差を認めなかった。5-HTT多型は喫煙習慣と関連し、喫煙量を規定することにより肺気腫進展に影響を与えると考えられた。一方、ニコチンは脳内ドパミン作動性神経系のアセチルコリン受容体を介しドパミン分泌を増加させ喫煙依存の形成に関与する。ドパミンD2受容体TaqIA1/2遺伝子多型について、欧米ではA1と本邦では逆にA2と喫煙習慣の関連が指摘されている。本研究では、全体としてはA1/A1 9%、A1/A2 49%、A2/A2 42%と過去の報告よりA1の頻度が高い傾向を認めた。COPD患者と健常喫煙者に分けた場合、アレル頻度に差を認めなかった。また、遺伝子型間で1日喫煙本数、生涯喫煙量、喫煙年数、禁煙者の比率に差を認めなかった。一方、A1/A1群ではA2/A2に比べ、喫煙量は同等にもかかわらず、%VC(p<0.05)と%FEV1(p<0.05)が有意に高値であった。D2A1/2多型は、喫煙量は規定しないものの肺機能と関連する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)