2006 Fiscal Year Annual Research Report
腎性貧血での代償性腎外エリスロポイエチン産生障害の検討とそれに基づく遺伝子治療
Project/Area Number |
17590815
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松原 光伸 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (30282073)
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Keywords | 腎 / 貧血 / 生理学 / 腎不全 / エリスロポイエチン / 腎尿細管 / 肝 / 遺伝子 |
Research Abstract |
慢性腎不全では貧血(腎性貧血)の合併が問題となる。本研究では腎性貧血においてエリスロポイエチン(EPO)の遺伝子治療の可能性を検討する目的で、1.慢性不全モデルラットの腎と肝での基礎的なEPO産生状態を把握する。2.必要量に応じたEPOの遺伝子治療を検討する。1は平成17年度にほぼ終了した(昨年の報告書にて報告:腎では基礎状態において貧血のレベルに対応したEPO産生増加は弱く、肝臓で少ないながら代償性産生が認められた)が、この平成17年度の検討の過程で、腎不全の程度を軽度・中程度・高度と3群に分けて解析した場合、貧血は腎不全の進行とともに悪化したが、EPO産生は軽度の腎不全でより低下が認められた。従って、軽度から中等度の腎不全ではEPOの産生低下は調整的低下の可能性があり、高度腎不全でEPO産生が病的に低下する可能性が示唆された。この結果からEPOの遺伝子治療の対象をどのレベルの腎不全から行うべきか、さらに検討する必要が出てきた。そこで、2のEPO遺伝子治療実験を行う前に平成18年度は以下のごとく、さらなる条件検討の研究を行った。慢性腎不全モデルラットを腎不全の程度で軽度、中等度、高度の3群に分け、ラットの大腿動脈にカテーテルを挿入の上、瀉血を行い(同時に大腿静脈にもカテーテルを挿入し、瀉血量と同等量の生理食塩水を補液)、その後に血液と腎組織を採取し、瀉血前EPO濃度と比較するとともに、腎組織におけるEPO産生状態をmRNAにより解析した。その結果、軽度および、中等度の腎不全群では瀉血後、.正常コントロールとほぼ同等の血中EPO濃度の上昇と腎組織におけるEPOmRNAの増加が認められた。一方、高度の腎不全群ではこの反応の低下が認められ、EPOの補充は高度腎不全でのみ必要であることが判明した。平成19年度はこの結果に基づき、高度腎不全ラットを用いてEPOの遺伝子治療を試みる。
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