2005 Fiscal Year Annual Research Report
硬化糸球体の再生:糸球体上皮細胞の脱分化および形質変換機構の解明と再分化誘導
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17590818
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長田 道夫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (10192238)
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Keywords | 糸球体硬化 / podocyte / p21 / トランスジェニックマウス / ROSAマウス / nephrin-Cre / 抗基底膜抗体腎炎 / 上皮脱分化 |
Research Abstract |
糸球体上皮細胞の脱分化は、進行する糸球体硬化のひとつの要因であると考えられており、この脱分化は増殖を背景とすることから、終末分化細胞と考えられるpodocyteの細胞周期の活性化(とくに細胞周期抑制因子p21の活性低下)が、脱分化と糸球体硬化に関与すると考えられている。Podocyteは増殖するのか、脱分化するのか、脱分化するならば、それはp21依存性であるのか、などについて明らかにするために、以下の実験を行っている。Podocyteの系譜を有する細胞を、増殖しても脱分化しても追跡可能とするために、ROSAプロモーターで発現するLacZ遺伝子がpodocyte特異的nephrinプロモーターで発現するCreで調節されるマウスを作製した。このマウスと、p21遺伝子欠損マウスと交配することで、p21の無い状態でのpodocyteの分裂増殖さらに脱分化細胞、さらにそれらの形質を可視化することができる。平成17年は、このマウスの作製と、podocyteが増殖する糸球体障害の惹起法を検討するという基礎段階であった。 その結果、目的とするp21-/-Cre-nephrin+/-ROSA+/+マウスの作製に成功し、現在繁殖中である。試験的にbeta-gal染色を行うと、糸球体上皮細胞に特異的な青い色素を発色した。また、抗基底膜抗体腎炎を、p21-/-マウスに投与し、上皮細胞の増殖性病変を再現できることを確認している。したがって、目的とする研究は開始できる状態である。現在、podocyteのマーカーやbeta-galとの二重染色などの手技について検討している。 この1年間で、研究目的(2年分)の約60%は成し遂げられたが、引き続きgoalに向かって研究を持続する所存である。
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