2005 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病における糸球体上皮細胞障害機序の解明と蛋白尿抑制の新たな治療戦略の確立
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17590820
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長瀬 美樹 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員 (60302733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
要 伸也 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員(客員助教授) (60224581)
後藤田 貴也 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員(客員助教授) (60322731)
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Keywords | 糸球体上皮細胞 / 足細胞障害 / 蛋白尿 / 糸球体硬化 / メタボリックシンドローム / アルドステロン / スタチン / Rho |
Research Abstract |
1)近年アルドステロンが生活習慣病に伴う臓器障害に重要な役割を果たすことが明らかにされてきている。我々はアルドステロンが腎糸球体上皮細胞障害を引き起こすか否かについて解析した。アルドステロン持続負荷(0.75μg/H)ラットでは血圧上昇、尿蛋白とともに、腎糸球体におけるnephrin・podocinの発現低下、desminの発現誘導、電子顕微鏡解析による足細胞の空胞変性、足突起の癒合といった足細胞障害の所見が認められた。こうした変化はアルドステロン投与後早期よりみられた。足細胞障害はeplerenoneやtempol投与により有意に改善したことから、アルドステロンにおける腎糸球体上皮細胞障害に酸化ストレスが関与することが示唆された。(2005年日本腎臓学会総会で発表)。 2)スタチンは低分子量G蛋白質Rhoの抑制に代表されるpleiotropic effectsを介した臓器保護効果を有することが報告されている。Rhoは腎糸球体上皮細胞においてアクチン線維などの細胞骨格の制御に関与することから、我々は腎糸球体上皮細胞障害におけるRhoの役割およびスタチンの保護効果を検討した。ラットにpuromycin aminonucleoside(PAN)を尾静脈より静注しPAN腎症モデルラットを作製した。PAN投与群ではday 7に蛋白尿、足細胞障害の所見を認め、これらはフルバスタチン投与により有意に抑制された。PAN腎症群ではRhoA活性の上昇が認められ、フルバスタチンはそれを抑制した。培養糸球体上皮細胞においてもPANはRhoAの活性化、アクチン線維の再構成を引き起こし、フルバスタチンはこれらの変化を抑えた。実際にPAN腎症モデルラットにRho kinase inhibitorであるFasudilを投与すると足細胞障害、蛋白尿は有意に改善した。以上、フルバスタチンはRhoの過剰活性化を抑制することにより糸球体上皮細胞保護的に作用することが示唆された。(Shibata S, Nagase M et al. 2006 J Am Soc Nephrol)
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Research Products
(10 results)