2006 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病における糸球体上皮細胞障害機序の解明と蛋白尿抑制の新たな治療戦略の確立
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17590820
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長瀬 美樹 東京大学, 医学部附属病院, 寄付講座教員 (60302733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
要 伸也 東京大学, 医学部附属病院, 客員助教授 (60224581)
後藤田 貴也 東京大学, 医学部附属病院, 客員助教授 (60322731)
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Keywords | 足細胞障害 / 蛋白尿 / 糸球体硬化 / 慢性腎臓病 / メタボリックシンドローム / アルドステロン / 酸化ストレス / アディポサイトカイン |
Research Abstract |
我々はメタボリックシンドロームのモデル動物SHR/NDmcr-cp(SHR肥満ラット)を用いてその腎障害につき解析した。SHR肥満ラットでは非肥満SHRと異なり、早期より蛋白尿がみられ、その成因として糸球体足細胞障害の関与が示された。SHR肥満ラットの血中アルドステロン濃度は非肥満SHRに比し有意に上昇しており、血中アルドステロン濃度と蛋白尿の間には正の相関がみられた。アルドステロンの標的のひとつであるSgk1発現もSHR肥満ラットの腎臓全体、糸球体分画において亢進していた。そこでSHR肥満ラットに抗アルドステロン薬エプレレノンを投与したところ、尿蛋白、足細胞障害はいずれも改善した。SHR肥満ラットでは酸化ストレスマーカーが上昇しており、抗酸化薬テンポールで足細胞障害、蛋白尿は軽減した。酸化ストレスマーカーの上昇はテンポールのみならずエプレレノンでも抑制された。以上より、本モデルにおいて、アルドステロンが酸化ストレス惹起を介して足細胞障害を引き起こしているものと考えられた。アルドステロンが足細胞障害をきたすことは、外因性にアルドステロンを食塩とともに慢性投与したモデル、培養足細胞株におけるアルドステロンの障害作用からもうかがえた。 SHR肥満ラットにおけるアルドステロン高値の機序として脂肪細胞の関与を検討したところ、非肥満SHR由来の脂肪細胞培養液では副腎からのアルドステロン分泌刺激活性はみられなかったのに対し、SHR肥満ラットの脂肪から調製した培養液ではこの活性が亢進していた。 以上より、SHR肥満ラットでは内臓脂肪細胞からアルドステロン分泌促進性アディポサイトカインが分泌され、その結果上昇した血中アルドステロンが酸化ストレス亢進を介して足細胞障害、蛋白尿、腎臓の臓器障害に関与している可能性が考えられた。
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Research Products
(7 results)