2006 Fiscal Year Annual Research Report
新たな糖尿病腎症モデル動物の確立とミッドカインを標的とする分子治療法の開発
Project/Area Number |
17590825
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
湯澤 由紀夫 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 講師 (00191479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 清一 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70190410)
仁木 一郎 大分大学, 医学部, 教授 (10262908)
門松 健治 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80204519)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / VGF / eNOS / exudative lesion / nodular lesion |
Research Abstract |
研究期間の2年目においては、尿細管・間質障害におけるミッドカインの関与について明らかにし、その成果を現在投稿中である。膵・細胞特異的カルモジュリン過剰発現マウス(CaM-Tgマウス)における腎症発現メカニズムについては、VEGF-NOシグナルの関与を明らかにし、現在投稿中(in revision : J Am Soc Nephrol)である。 1)「STZ糖尿病モデルにおけるMKの関与」:ノックアウトマウス(Mdk-/-)では尿細管間質病変の進行や腎機能の低下、MCP-1の誘導、炎症細胞の浸潤は有意に抑制しえた。更に、野生型マウス由来尿細管細胞を高血糖刺激するとMKの発現が二峰性に誘導され、NF-kBのリン酸化がMdk-/-由来の尿細管細胞に比して有意に亢進していた。また、マクロファージからのMK産生誘導も確認した。この結果より尿細管間質障害において高血糖により誘導される尿細管上皮細胞及びマクロファージ由来MKは、糖尿病性腎症における尿細管間質障害のvicious cycleを形成している。 2)「CaM-Tgマウス」:・CaMTgマウスはヒトの糖尿病性腎症に類似の特徴的な病変を呈する。 1.著しいメサンギウム基質の増生に加え、メサンギウム融解像・結節性病変・滲出性病変を認める 2.糸球体病変に加えて、高度の輸出・入動脈の硝子化を呈する 3.糸球体血管極及ぴ間質での著しい血管新生を認める ・高血糖により、VEGFの発現亢進・eNOSの発現低下を認め、VEGFR-2を介する内皮細胞への刺激冗進が、これらの病変の重要な病因のひとつと考えられた。 ・CaMTgでは、高血糖によりVEGF-2を介する血管新生・内皮障害が発症初期から認められ、これがヒト糖尿病性腎症に特徴的なさまざまな病変、即ち血管極hyalinosis、結節性病変・滲出性病変を引き起こし、最終的に糸球体硬化にいたると考えられた。
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