2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症における糸球体硬化進行・退縮の分子機序解明と新規内分泌因子の意義
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17590826
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
向山 政志 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40270558)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / CCNファミリー / レプチン / トランスジェニックマウス / 糸球体上皮細胞 / CTGF / Cyr61 / 細胞外基質 |
Research Abstract |
糖尿病性腎症におけるCCNファミリーおよびレプチンの意義を検討し、以下の成栗を得た。 1.CTGF(CCN2)の糖尿病性腎症における意義の検討 ヒトネフリンプロモータを用いて糸球体上皮細胞(podocyte)特異的CTGF過剰発現(Tg)マウスを作製した。Streptozotocin(STZ)投与によりCTGF-Tgマウスに糖尿病を誘発したところ、尿中アルブミン排泄は糖尿病野生型マウスに比し12週後には2.8倍に増加した。糖尿病CTGF-Tgマウスでは、メサンギウム基質の拡大とともに糸球体MMP-2発現の低下を示した。さらにpodocyte数の減少とpodocin発現の低下を認め、電子顕微鏡による検討ではpodocyteに空胞変性を伴っていた。以上よりCTGFは糖尿病性腎症のpodocyte傷害を増悪させることが示された。 2.Cyr61(CCN1)の糖尿病性腎症における意義の検討 ヒト腎症組織におけるCyr61の発現を検討した。糖尿病性腎症ではCyr61はpodocyteおよび尿細管上皮細胞に染色を認め、腎症の進展に伴いpodocyteでの発現低下を認めた。またとくにIgA腎症ではメサンギウム領域の拡大に伴って明らかなpodocyteでの発現低下を認めた。Cyr61は培養メサンギウム細胞の遊走・接着を抑制し、podocyteの分化マーカーを亢進させた。以上よりヒト腎症の病態においてCyr61が腎保護的に作用する可能性が示された。 3.レプチンの糖尿病性腎症における意義の検討 新規の糖尿病性腎症モデルであるA-ZIP/F-1マウスに対し、2週間のレプチン皮下投与にて明らかな蛋白尿の軽減と糸球体硬化の退縮を認めた。A-ZIPマウスの糸球体で発現亢進レプチン治療にて変化する遺伝子をmicroarrayにて解析し、STZ+insulin治療のモデルと比較すると多数の共通の遺伝子を認め、早期で亢進し改善しない群としてTGF一βやCTGFが、早期で改善する遺伝子としてgremlinやGas6が同定された。これらの意義について検討を進めている。
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