2005 Fiscal Year Annual Research Report
尿細管の細胞間短絡路を介した電解質輸送におけるクローディンの役割
Project/Area Number |
17590840
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
武藤 重明 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40190855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 幸雄 自治医科大学, 医学部, 講師 (00285777)
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Keywords | タイトジャンクション / クローディン2 / 近位尿細管 / Na / Cl輸送 |
Research Abstract |
近位尿細管のタイトジャンクションに特異的に発現しているクローディン2のノックアウト(KO)マウスと、その野生型(WT)マウスを用いて、近位尿細管の形態を、パラフィン切片法による光学顕微鏡観察と、超薄切片法、フリーズフラクチャー法による電子顕微鏡観察によって比較した。KOマウスでは、尾より抽出したDNAのSouthern blottingによってクローディン2遺伝子の欠損を、また、腎臓の免疫組織染色によってクローディン2蛋白の欠損を確認した。さらに、KOマウスの近位尿細管のタイトジャンクションではWTマウスと同様にクローディン10とクローディン11が発現していたことより、KOマウス近位尿細管のタイトジャンクションではクローディン10やクローディン11の分布に影響を与えることなくクローディン2のみが選択的に欠損していることが明らかになった。KOマウスはメンデルの法則に従って生まれ、成長や行動パターンはWTマウスと著変はなかった。ヘマトキシリン-エオジン染色では糸球体や尿細管などの腎の形態は両群で明らかな相違はみられなかった。超薄切片法による電子顕微鏡観察でも、WTマウスの近位尿細管と同様に、KOマウスでも多くの微絨毛を有した管腔側膜と、管腔側膜近くの接着複合体が存在していた。接着複合体には隣接する細胞が完全に密着する部位(タイトジャンクションストランド/溝)を1個認めた。フリーズフラクチャー法による電子顕微鏡観察でも、WTマウスの近位尿細管と同様に、タイトジャンクションストランド/溝が1個存在し、クローディン2の粒子が集まりひも状を呈していたた。溝の単位長さ(100nm)当たりの粒子の数はWTマウスで3.4であるのに対し、KOマウスでは1.3であったことから、KOマウスの近位尿細管のタイトジャンクションはWTマウスとは質的な違いが存在することが示唆された。
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