2006 Fiscal Year Annual Research Report
尿細管の細胞間短絡路を介した電解質輸送におけるクローディンの役割
Project/Area Number |
17590840
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
武藤 重明 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40190855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 幸雄 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (00285777)
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Keywords | タイトジャンクション / クローディン2 / 近位尿細管 / Na / Cl輸送 |
Research Abstract |
近位尿細管のタイトジャンクションに特異的に発現しているクローディン2のノックアウト(KO)マウスの腎臓より単離した近位尿細管S2セグメントを灌流し、その野生型(WT)マウスを対照として、機能的差異がないかどうかを検討した。まず、管腔内灌流液の浸透圧を一定に保持しながらNaCl濃度を50mM減らすことによって血管側から管腔側へのNa/Clの濃度勾配を作ると、WTマウスでは経上皮電位が正に偏位するのに対し、KOマウスでは負に偏位した。拡散電位も同様のpatternを示し、Goldman-Hodgkin-Katzの式より、Clに対するNaの透過性の比を算出すると、WTマウスではNa透過性が優位であるのに対し、KOマウスではCl透過性が優位であった。経細胞輸送をouabainで抑制しても、同様のpatternを示した。KOマウスの近位尿細管の経上皮抵抗とタイトジャンクション抵抗はいずれも、WTマウスに比べ約2倍の増加を示した。KOマウスの近位尿細管上皮細胞を介した正味のNa再吸収量、Cl再吸収量、水再吸収量はいずれもWTマウスと比較し有意な低下を認めた。自由飲水と食餌摂取下での分画Na排池率と分画Cl排池率は2群で有意差を示さなかったが、2%NaCl溶液を尾静脈より一定量負荷後の分画Na排池率と分画Cl排池率はKOマウスで有意に増加した。このことから、KOマウスでは近位尿細管の細胞短絡路を介したNa再吸収障害は、二次的にClや水の再吸収障害を引き起こすが、近位尿細管より下流に位置する遠位側ネフロンではこれらの再吸収を増加させることによって代償していることが示唆された。以上より、クローディン2は、近位尿細管のタイトジャンクションに位置し、細胞間短絡路の電気抵抗を低くし、かつNa透過性の維持に重要な役割を担っていることが明らかになった。
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