2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規腎不全モデルラットを用いた腎疾患における小胞体ストレスの病因論解明
Project/Area Number |
17590848
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
稲城 玲子 東海大学, 総合医学研究所, 助教授 (50232509)
|
Keywords | メグシン / トランスジェニックラット / 小胞体ストレス / 糸球体 / 蛋白尿 / セルピン / セルピノパシー / 高血糖 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、腎臓特異的メグシンセリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)として、メサンギウム細胞に高発現する新規セルピンである"メグシン"を単離同定し、その分子機能解析に関する研究を積極的に遂行してきた。その中でメグシン高発現ラットが腎不全を伴う腎セルピノパシー(セルピンが細胞内に重合・蓄積することで生じる疾患)を呈することを示してきた。本研究では、メグシン高発現ラット腎障害の解析を通じて、腎セルピノパシー、特に小胞体機能異常(小胞体ストレス)の病態生理学的意義を解明し、腎不全における新しい病因論提唱の可能性を検討した。 メグシン高発現ラットは、早期に腎機能低下と重篤な蛋白尿を呈する。その機序解明を経時的腎病理解析、血液・尿生化学、電子顕微鏡解析、メグシン抗体を用いた免疫電子顕微鏡解析などを用いて行ったところ、過剰発現メグシンが腎細胞内小胞体の形態・機能異常を引き起こすため生じる事が明らかにされた。さらに、過剰発現メグシンが腎臓細胞の小胞体内腔に蓄積し、小胞体構造異常(小胞体ストレス)を引き起こす際に、回避機構の一端として、小胞体ストレス応答性シャペロン分子(ORP150,GRP78/94)、細胞死誘導分子(caspase12)などの発現誘導が生じることを明らかにした。また、セルピノパシーにおける小胞体ストレス応答性は臓器によって著しく異なり、腎臓、膵臓、脳は高い感受性を示しメグシン高発現ラットで各臓器障害(腎機能低下、高血糖、脳機能障害)を呈したのに対し、心臓、肺などはメグシンを高発現しているにも関わらず、臓器障害や小胞体ストレスをまったく認めなかった。 以上、メグシン高発現ラットは重度の小胞体機能障害を伴う新規腎不全モデル動物と考えられる。
|
Research Products
(12 results)