2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の機能維持に関わるコレステロールの研究:病態成立との接点を求めて
Project/Area Number |
17590859
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山崎 恒夫 群馬大学, 医学部, 講師 (80200658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 幸市 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00124652)
岩下 淑子 東京都老人総合研究所, 生体膜機能研究グループ, 副参事研究員 (50111498)
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Keywords | コレステロール / 神経細胞 / ニーマン・ピック病C型 |
Research Abstract |
コレステロールが神経細胞の機能維持に重要な働きをしていることが近年の研究で明らかにされつつある。なかでも、グリア細胞が分泌するコレステロールと、神経細胞の膜表面コレステロールの重要性に注目が集まっている。しかしながら、膜表面コレステロールが神経細胞のどこに存在しているのかといった基本的な知識が未だに欠如しているのも事実である。これは、いままで膜表面コレステロールのみを標識出来るような適当なマーカーが存在しなかったことが大きな理由である。我々は細胞表面のコレステロールのみを選択的に標識可能な新しいマーカーであるBCθを用いて、神経細胞の表面におけるコレステロールの生理的分布とその役割、ならびに病的状態におけるその変化を検出することを目的にこの研究を計画した。まず我々はラットの海馬神経細胞を低密度培養し、成熟段階における細胞表面コレステロールの発現を観察した.その結果、BCθは未熟な細胞は染色せず、成熟した神経の特記のみを染色することが判明した.このことは、神経細胞表面のコレステロールが細胞の成熟段階にともなって局在してくることを示している.さらに、この表面にコレステロールの存在する突起を詳細に調べた結果、これらの突起が主として軸索であることが判明した.このことは、細胞表面のコレステロールが極性を持って局在していることを示しており、従来知られていなかった新しい知見をうることができた.さらに、同様の実験をニーマン・ピック病C型のモデル神経細胞を用いて行ったところ、これらモデル細胞の表面にはコレステロールが存在していないことが判明した.同病では神経細胞の脱落・変性が知られており、細胞表面コレステロールの変化が神経細胞死の原因となっている可能性が示唆された.
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Axon-dominant localization of cell-surface cholesterol in cultured hippocampal neurons and its disappearance in Niemann-Pick type C model cells2005
Author(s)
Tashiro, Y., Yamazaki, T., Shimada, Y., Ohno- Iwashita, Y., Okamoto, K.
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Journal Title
Eur.J.Neurosci.20,2015-2021. 20
Pages: 2015-2021
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