2005 Fiscal Year Annual Research Report
進行性核上性麻痺PSPの発病に関連する17q21.31領域の遺伝因子の解明
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17590867
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高野 弘基 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (80345503)
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Keywords | PSP / MAPT / tau / tauopathy |
Research Abstract |
進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy, PSP)は老年期に発症する孤発性の神経変性疾患で、パーキンソニズムと表現される運動障害と前頭葉性の認知症を呈する。病理組織学的には、PSPは脳にタウ蛋白(microtuble-associated protein tau, MAPT)の異常凝集体がみられる特徴を有し、タウオパチーと呼ばれる一群疾患に属する。 ヒト染色体17q21.31領域に存在するMAPT遺伝子を含む2cMの領域は連鎖不平衡状態にあり、H1型とH2型の2種類のハプロタイプに大別される。欧米人ではPSPとH1との相関が示されている。一方、日本人はH1のみからなる集団であるため、H1とPSPとの相関は見出せない。しかしながら、H1のみからなる集団において本領域とPSPの相関を検討することは、本領域でPSPと相関する遺伝因子の本体を正確に同定することにつながる。 日本人でMAPT遺伝子とPSPを含む孤発タウオパチーとの相関を検討した。PSP32例、皮質基底核変性症(CBD)10例、前頭側頭葉型痴呆(FTD)16例、高齢対照60例のゲノムDNAを用い、MAPT領域を網羅する一塩基多型マーカーであるrs962885,rs242557,rs242562,MAPTエクソン4AのC482T,MAPTエクソン6のC139T,MAPTイントロン9のC-47A,rs2240756を解析した。ゲノタイプ分布で、PSPと対照ではrs242562(P=0.02)で、PSPとCBDを合わせた群と対照ではrs242557(P=0.05),rs242562(P=0.01),C482T(P=0.01)で有意であった。FTD群では有意差を認めなかった。PSPとCBDを合わせた群と対照では、rs242557のAA(P=0.04,Odds比=2.46),rs242562のAA(P=0.003,Odds比=3.64),C482TのCC(P=0.022,Odds比=0.37)ゲノタイプは他と比較して有意であった。MAPT上流約36kbのrs962885からエクソン6のC139Tの間の約132kbにPSPとCBDの遺伝的危険因子がある。
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