2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞の細胞再生医療の研究:脳梗塞モデルラットにおける幹細胞株移植実験
Project/Area Number |
17590877
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
長井 篤 島根大学, 医学部, 助教授 (40273940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 祥泰 島根大学, 医学部, 病院長 (00118811)
寺嶋 正治 島根大学, 医学部, 助教授 (40227517)
益田 順一 島根大学, 医学部, 教授 (70173747)
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Keywords | 脳梗塞 / 幹細胞 / 再生医療 / 移植 / 神経保護 / 炎症 / アポトーシス / リアルタイムPCR |
Research Abstract |
脳卒中は日本の死因第3位を占める重要な疾患で、機能改善の望めないことが社会復帰の妨げとなり、寝たきりの増加が社会問題になっている。脳卒中再生医療は、機能改善をもたらす治療として期待がもたれ、平成17年度、我々は脳梗塞モデルラットを作成し、ヒト由来神経幹細胞株(F3)、骨髄間葉系幹細胞株(HB10)、ミクログリア細胞株(HMO)を静注移植することで症状改善度、病理学的変化を検討した。症状は移植群で7日後よりコントロール群より改善し、梗塞体積も減少したが、その機序について平成18年度は検討した。病理学的検討では、主に梗塞の境界領域(ペナンブラ)に移植細胞の遊走が移植3日後にみられたが7日後にはHB10、HMOは消失した。F3は14日後にもペナンブラ領域に生存がみられ、細胞種による遊走・生着の違いがみられた。3種類の細胞が梗塞巣を減少させる原因として、TUNEL染色による評価から、移植がペナンブラ領域のアポトーシスを減少させることによる神経細胞のレスキューが重要な因子のひとつと考えられた。次に移植脳における梗塞を改善する因子として栄養因子の発現を分子生物学的に検討したところ、移植脳ではラット由来のEGF、IGF、G-CSFなどの神経栄養因子の発現が著明に増加していることが確認された。また、F3移植脳においては梗塞時に生じる炎症の違いを検討した。F3移植は梗塞巣への白血球浸潤を抑制し、白血球由来の神経障害因子であるiNOS(inducible nitric oxide synthase)を減少させることを見い出した。今回の研究により梗塞改善の機序が検討でき、移植医療のみならず臨床的な知識として有用であり、関連した幾つかの報告を行うことができた。今後脳卒中再生医療が実現化への歩みを進めるためには、さらに詳細な機序の検討と改善をもたらす因子の同定が不可欠であり、研究を推進している。
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Research Products
(4 results)